青山二郎の眼 展
2007年6月9日から8月19日
世田谷美術館
静嘉堂文庫から東急バス(路線図、時刻表はこちら)に乗り、世田谷美術館へ。前回、五島美術館から静嘉堂文庫、そして世田谷美術館と回った時は、全部の区間を歩いたのだが、今回は静嘉堂文庫から世田谷美術館の区間についてバスを利用した。玉31 成育医療センター行きか、玉32 美術館行き(休日のみ)だ。日曜日は昼間帯は20分おきにバスがでている。一つ先の「やのはし」のバス停から乗った方が時間的にお得だったようだ。バスは、静嘉堂文庫前-玉川病院-やのはし の順にバスは停まるが、静嘉堂文庫前から「やのはし」までは、正規の時刻表で5分かかる。歩くと2分ほどでは。10分もせずに「区立総合運動場」に。そこで下車して砧公園を散歩しても気持ちがいいし、「星美学園」で降りれば少しは近い。日曜ならば、歩くのが大変と思えば、最後の「美術館」で下車すればいい。今回は、「星美学園」から砧公園に入って歩けば、5分ほどで着いた。
さて、青山二郎(1901~1979)については、知識なしでこの展覧会に臨んでしまった。希代の目利きで、いわゆる「骨董」世界の完成者。東京の裕福な家庭に生まれた青山二郎は十代半ばから天才的な審美眼を発揮し、20代には柳宗悦の初期の民藝運動を支え、日本民藝美術館の設立趣意書に浜田庄司、河井寛次郎らとともに名を連ねたという。
第1章 鑑賞陶器―中国古陶磁
展覧会の冒頭は、青山二郎が目利きしたコレクション図録『甌香譜』(おうこうふ)から。青山二郎が26歳の時に、横河民輔氏から委託で、作成した図録。横河民輔氏の中国陶磁のコレクション2000点あまりから優品60点を青山の目で選んだという。昭和6年に5年の歳月をかけて完成。200部が作成されたという。横河民輔氏の中国陶磁コレクションは、現在は、東京国立博物館の寄贈されていて、現在も多くが展示されている。今回の展示されていた数点は、ちょっと、東京国立博物館の展示とは趣が違う。古典的な名品ではなく、青山二郎の目で選ばれたものばかりだからだ。青山には中国陶磁について「一目瞭然である」(世界陶磁全集、宋遼篇)「見れば解る、それだけの物だ。博物館にあれば沢山である。」という言説があるようだ。つまり、評価の固まった古典的なものとは違う、青山二郎の目で見た優品がある、それを真摯に選んだのが『甌香譜』。そして、その青山二郎の目が新しい古典になっていく。その意味では、泉屋博古館分館で開催された、「特別展 中国陶磁 美を鑑るこころ」(記録はこちら)も鑑賞陶器の展覧会だったが、こちらは古典的な(または最大公約数的な)優品が展示されていた。この『甌香譜』の視点には、さらに個性的な部分があるようだ。106《三彩花文皿》の文様、108《三彩貼花六葉盤》の六葉の造形と見込み中央の浮彫り、144《五彩網目魚文皿(天啓赤絵)》などが、印象的であったが、やはり、尖がっている印象がある。展覧会では、残念ながら、『甌香譜』のコレクションのうちごく一部展示されているのみ。図録には49点が収録されている。小野公久氏によれば「『甌香譜』は稀本ですが、興味のある方は東京国立博物館資料館で閲覧出来ます。 」とのことだが。。。閲覧してみたい。
このあと、日本民藝館所蔵(柳宗悦旧蔵)の呉州赤絵とか、静嘉堂文庫所蔵の呉州赤絵とかが並ぶ。横河民輔氏のコレクションとは趣が違う。やはり、柳宗悦氏のコレクションなどは、かなり民芸色に重きがある。私の好みとしては、『甌香譜』収録の陶磁器に軍配を挙げたい。
第2章 朝鮮考―李朝
こちらは、李朝白磁がならぶ。「李朝の染付陶器の価値を認めたのは柳宗悦氏の力で、李朝自身は勿論柳宗悦氏以前には、これ程しっかりと認められてはいなかった。(朝鮮民芸工芸概説)」とのことだから、いづつやさんのhpで知ったが、日本民藝館にいってみるしかないかもしれない。民藝だな。というのが率直な感想。216 飴釉面取茶入、218 飴釉面取壺などが展示されていたが、これはなかなかよかった。島津家伝来のととや茶碗、伊羅保茶碗、堅手茶碗(不昧公所持)なども展示されていた。
第3章 日本の骨董
「二郎さんは日本のものは綜て嫌ひである」「日本の陶磁器には権力者の嗜好を満たすもの、茶陶、作家もの三つよりほかは何もない」と言い切ってしまう。というがなかなかのものでした。
301 絵唐津茶碗 銘 水心水如(?)益田鈍翁所蔵
302 絵唐津茶碗 銘 たんぽぽ
310 絵唐津草文筒碗 広田煕旧蔵
304 萩割高台茶碗 三輪休雪旧蔵
304 萩割高台茶碗 三輪休雪旧蔵
308 粉引徳利 銘 酔胡 赤星五郎、小林秀雄旧蔵
322 紅志野香炉 宇野千代、白洲正子旧蔵、青山二郎箱書き、白抜きの草花文、地の紅色が美しい。白洲正子氏が、その香炉は禿ちょろけの絹に包んであり「コレヲ持ツモノニ呪イアレ」と記してあった。と著書で思い出を語っている一品。
345 蕎麦猪口各種 と飾り棚;これって何気ないのですが、センスがいい
348 信楽大壷
349 信楽うずくまる
337 金襴手急須 青木木米作 北大路魯山人旧蔵;はでな急須、こんな木米もあるのですね。
第4章 装幀家 青山二郎とその交流
ここも面白そうでしたが、ちょっと疲れてスキップでした。
鑑賞陶器の一端が窺えるいい展覧会でした。
(一日)
2007年6月9日から8月19日
世田谷美術館
静嘉堂文庫から東急バス(路線図、時刻表はこちら)に乗り、世田谷美術館へ。前回、五島美術館から静嘉堂文庫、そして世田谷美術館と回った時は、全部の区間を歩いたのだが、今回は静嘉堂文庫から世田谷美術館の区間についてバスを利用した。玉31 成育医療センター行きか、玉32 美術館行き(休日のみ)だ。日曜日は昼間帯は20分おきにバスがでている。一つ先の「やのはし」のバス停から乗った方が時間的にお得だったようだ。バスは、静嘉堂文庫前-玉川病院-やのはし の順にバスは停まるが、静嘉堂文庫前から「やのはし」までは、正規の時刻表で5分かかる。歩くと2分ほどでは。10分もせずに「区立総合運動場」に。そこで下車して砧公園を散歩しても気持ちがいいし、「星美学園」で降りれば少しは近い。日曜ならば、歩くのが大変と思えば、最後の「美術館」で下車すればいい。今回は、「星美学園」から砧公園に入って歩けば、5分ほどで着いた。
さて、青山二郎(1901~1979)については、知識なしでこの展覧会に臨んでしまった。希代の目利きで、いわゆる「骨董」世界の完成者。東京の裕福な家庭に生まれた青山二郎は十代半ばから天才的な審美眼を発揮し、20代には柳宗悦の初期の民藝運動を支え、日本民藝美術館の設立趣意書に浜田庄司、河井寛次郎らとともに名を連ねたという。
第1章 鑑賞陶器―中国古陶磁
展覧会の冒頭は、青山二郎が目利きしたコレクション図録『甌香譜』(おうこうふ)から。青山二郎が26歳の時に、横河民輔氏から委託で、作成した図録。横河民輔氏の中国陶磁のコレクション2000点あまりから優品60点を青山の目で選んだという。昭和6年に5年の歳月をかけて完成。200部が作成されたという。横河民輔氏の中国陶磁コレクションは、現在は、東京国立博物館の寄贈されていて、現在も多くが展示されている。今回の展示されていた数点は、ちょっと、東京国立博物館の展示とは趣が違う。古典的な名品ではなく、青山二郎の目で選ばれたものばかりだからだ。青山には中国陶磁について「一目瞭然である」(世界陶磁全集、宋遼篇)「見れば解る、それだけの物だ。博物館にあれば沢山である。」という言説があるようだ。つまり、評価の固まった古典的なものとは違う、青山二郎の目で見た優品がある、それを真摯に選んだのが『甌香譜』。そして、その青山二郎の目が新しい古典になっていく。その意味では、泉屋博古館分館で開催された、「特別展 中国陶磁 美を鑑るこころ」(記録はこちら)も鑑賞陶器の展覧会だったが、こちらは古典的な(または最大公約数的な)優品が展示されていた。この『甌香譜』の視点には、さらに個性的な部分があるようだ。106《三彩花文皿》の文様、108《三彩貼花六葉盤》の六葉の造形と見込み中央の浮彫り、144《五彩網目魚文皿(天啓赤絵)》などが、印象的であったが、やはり、尖がっている印象がある。展覧会では、残念ながら、『甌香譜』のコレクションのうちごく一部展示されているのみ。図録には49点が収録されている。小野公久氏によれば「『甌香譜』は稀本ですが、興味のある方は東京国立博物館資料館で閲覧出来ます。 」とのことだが。。。閲覧してみたい。
このあと、日本民藝館所蔵(柳宗悦旧蔵)の呉州赤絵とか、静嘉堂文庫所蔵の呉州赤絵とかが並ぶ。横河民輔氏のコレクションとは趣が違う。やはり、柳宗悦氏のコレクションなどは、かなり民芸色に重きがある。私の好みとしては、『甌香譜』収録の陶磁器に軍配を挙げたい。
第2章 朝鮮考―李朝
こちらは、李朝白磁がならぶ。「李朝の染付陶器の価値を認めたのは柳宗悦氏の力で、李朝自身は勿論柳宗悦氏以前には、これ程しっかりと認められてはいなかった。(朝鮮民芸工芸概説)」とのことだから、いづつやさんのhpで知ったが、日本民藝館にいってみるしかないかもしれない。民藝だな。というのが率直な感想。216 飴釉面取茶入、218 飴釉面取壺などが展示されていたが、これはなかなかよかった。島津家伝来のととや茶碗、伊羅保茶碗、堅手茶碗(不昧公所持)なども展示されていた。
第3章 日本の骨董
「二郎さんは日本のものは綜て嫌ひである」「日本の陶磁器には権力者の嗜好を満たすもの、茶陶、作家もの三つよりほかは何もない」と言い切ってしまう。というがなかなかのものでした。
301 絵唐津茶碗 銘 水心水如(?)益田鈍翁所蔵
302 絵唐津茶碗 銘 たんぽぽ
310 絵唐津草文筒碗 広田煕旧蔵
304 萩割高台茶碗 三輪休雪旧蔵
304 萩割高台茶碗 三輪休雪旧蔵
308 粉引徳利 銘 酔胡 赤星五郎、小林秀雄旧蔵
322 紅志野香炉 宇野千代、白洲正子旧蔵、青山二郎箱書き、白抜きの草花文、地の紅色が美しい。白洲正子氏が、その香炉は禿ちょろけの絹に包んであり「コレヲ持ツモノニ呪イアレ」と記してあった。と著書で思い出を語っている一品。
345 蕎麦猪口各種 と飾り棚;これって何気ないのですが、センスがいい
348 信楽大壷
349 信楽うずくまる
337 金襴手急須 青木木米作 北大路魯山人旧蔵;はでな急須、こんな木米もあるのですね。
第4章 装幀家 青山二郎とその交流
ここも面白そうでしたが、ちょっと疲れてスキップでした。
鑑賞陶器の一端が窺えるいい展覧会でした。
(一日)
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