赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

②ウクライナの人びとの「自由を守る戦い」に学ぶ コラム(494)

2022-12-04 12:00:00 | 政治見解



コラム(494):
②ウクライナの人びとの「自由を守る戦い」に学ぶ

引き続き、ウクライナ出身で日本在住のアンドリー・ナザレンコ氏の著書『自由を守る戦い 日本よ、ウクライナの轍(てつ)を踏むな!』からの学びを書きます。


ロシア系住民に無条件で国籍を与えた過ち

前稿のクリミア・タタール人と正反対の立場に置かれているのが、ウクライナに住むロシア系住民です。クリミア・タタール人と入れ替わりに入植したロシア人は、ソ連崩壊後にウクライナが独立した際に、無条件でウクライナ国籍が与えられました。

こういうロシア系住民の中にはウクライナに住み、ウクライナ国籍を持ちながらも、ロシアへの帰属意識を持つ人々が多いのでしょう。

ロシアは2014年にクリミア半島内のロシア系住民を保護する、という名目で軍事介入し、「クリミア共和国」のウクライナからの独立とロシア連邦への編入を求める住民投票で正当化しました。投票所の周りには「クリミアはロシアである」というプラカードを持ったロシア軍人が立ち並び、投票用紙を数えたり、結果を発表するのもロシア軍関係者でした。

そんな偽投票に参加するのは、親ロシア派だけでしょう。ナザレンコ氏は、そもそもウクライナ独立時にロシア系住民に無条件でウクライナ国籍を与えてしまったところに、問題があったと指摘しています。

「新しくできたウクライナ政府は.当時国内に在留していた人々に例外なく国籍を与えることにした。ウクライナの北にあるバルト三国の場合、国籍を得るための試験があった。国語を話せるかどうか、法律を知っているかどうか、共通の歴史認識を持っているかどうか、などによってそのまま国籍を与えて、住まわせ続けていいかどうか、参政権を与えていいかを判断したのである。」

「ところがウクライナでは、そうしたハードルを一切課さなかった。そのため、ソ連時代から入植していた帝国主義の思想を持っているロシア人も皆、参政権を有することになってしまった。ロシア人の帝国主義者からすれば、ウクライナ民族、ワクライナ語は存在しない。」

「元々、ウクライナはロシアの一部という認識が非常に強い。このような人たちに政治的な権利を与えたことは大きな過ちだった。」
(p16)


ウクライナへの愛国心、忠誠心を持たないロシア系住民が投票権を持ったことによって、ウクライナの独立が脅かされたのです。これが現在でもウクライナのアキレス腱になっています。

国内に住みながら、他国の「根っこ」に繋がった人々がいる、という問題は他人事ではありません。我が国でもあっち系の人々が、「外国人参政権」を主張する背景はこういうところにあるのです。

国家とは、家賃さえ払えば誰が住んでも自由という「雑居アパート」ではありません。バルト三国のように、同じ屋根のもとで力を合わせていこうという意思を持った外国人のみを受け入れて、国籍と選挙権を与える、というのが、国際常識です。

しかし、戦後のGHQは「歴史伝統教育は軍国主義につながる」というプロパガンダによって、私たちの歴史と文化を断ち切ろうとしました。そして、それを嬉々として受け継いでいるのが日本共産党であり、朝日新聞を中心とした左派メディアです。

したがって、国民の自由と独立への意思を強めるには、日本人としてのアイデンティティである歴史と文化に回帰しなければならないのです。

ナザレンコ氏は次のように語ります。

「ところで、私が来日し、人生で初めて参拝した神社は原宿の『東郷神社』だった。ご存知だと思うが、東郷平八郎は日露戦争の日本海海戦でバルト艦隊を全滅させた英雄である。私は、現に生きた人が死後、神として祀られることにとても感動した。

教育の面から考えても、『立派な人生を送れば、あなたの名前は永遠に歴史に残り、千年経っても子孫に神として祀られる』という考え方は、『少しでも聖書に反することをしたら永遠に地獄に堕ちて苦しむ』という考え方より、よっぽどレベルが高いと思う。」
(p65)


東郷提督を神として祀るのは軍国主義につながると主張する人もいるのは知ってますが、ロシア艦隊を全滅させたのは、ロシアの侵攻から国を守るためであり、かつ、その勝利はアジアのみならず、ポーランドやトルコ、フィンランドなど、ロシア帝国主義に苦しめられていた人々に、大きな希望を与えたのも事実です。

さらに人間としても、東郷提督は、負傷して佐世保の海軍病院で手当を受けているロジェストウェンスキー・バルチック艦隊司令長官を見舞い、ロシア将兵の勇敢な戦いぶりを称えました。その温情に、ロジェストウェンスキーは両眼に涙をため、ふかくうなだれて「神への感謝を込めて十字を切った」と伝えられています。

尋常でない徳をもった東郷提督を神と称えることは、良い人間教育でもあるのです。


アンドリー・ナザレンコ氏の著書『自由を守る戦い 日本よ、ウクライナの轍(てつ)を踏むな!』の一部だけを引用して、ウクライナという国家の歴史的背景を見てきましたが、考えさせられることがたくさんありました。

日本人としてのアイデンティティを破壊するには歴史と文化を破壊すればいいこと、それだけで愛国心は失われてしまいます。そして、在日外国人に無条件で参政権を与えてしまえば、日本の国家そのものが破壊されてしまします。

実際、多民族国家であるアメリカは国民の統合をはかるため公式行事でたびたび『忠誠の誓い』【※1】の暗誦が行われます。

忠誠の誓い【※1】:帰化した場合にはアメリカ合衆国憲法への忠誠の誓いのほかに、以前保持したすべての外国への忠誠の放棄の誓い、国内外の敵からアメリカ合衆国憲法を守る誓い、法律が定めた場合、兵役に従事する約束、国家の大事の際、法律が定めた市民としての義務を果たす約束を宣誓しなければならない。

今、わが国であっち系の人びとが主張していろいろやっていることが、外国勢力を手引きして日本侵略に加担していますが、かれらこそ、アンドリー・ナザレンコ氏の著書を読んで心に刻まねばならないと思います。


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①ウクライナの人びとの「自由を守る戦い」に学ぶ コラム(493)

2022-12-04 00:00:00 | 政治見解



コラム(493):
①ウクライナの人びとの「自由を守る戦い」に学ぶ


日本共産党の志位さんがこんなツィートをしています。

「自分の国は自分で守る」というレトリックに騙されてはならない。「敵基地攻撃能力」で守ろうとしている本命は米軍だ。日本に対する武力攻撃がなくても、米国が海外で戦争を始めたら、集団的自衛権を発動し米軍とともに戦う。その結果は?相手国の報復攻撃による国土の破壊だ。力合わせ止めよう!

どうやら志位さん、軍事国家の中国、ロシア、あるいは北朝鮮が日本に攻めてくる際、積極的に協力して、傀儡政権の首班になるつもりのようですね。自分の利益のために日本国民を犠牲にすることなど、なんとも思っていないということがよくわかるツィートです。

少しは、ウクライナ出身で日本在住のアンドリー・ナザレンコ氏の『自由を守る戦い 日本よ、ウクライナの轍(てつ)を踏むな!』という本を読んでみたらいかがでしょうか。

この本には衝撃的なお話も掲載されています。


「私はオーストリアで生まれ、
 ポーランドで育ち、
 ハンガリーの学校に行き、
 ソ連で就職し、
 いまウクライナに住んでいる」

「大変な人生でしたね」

「いや、私は生まれてから今まで一度もこの街を出たことがない」
(p10)


これだけ多くの国々に支配されながらも、独立を諦めずに、現在もロシア軍と果敢に戦うウクライナ人の「自由を守る戦い」には、心動かされます。

その背景を、ナザレンコ氏はこう語っています。

「言語と文化さえ保つことができれば、たとえ一時的に独立を失ったとしても、国家を復興する機会は必ず巡ってくるとも言えるのかもしれない。」(p13)

この思いを、ウクライナ国民は現在の戦争で見せつけているのかもしれません。

当初、ロシア軍が数日で主要都市を制圧するだろうという予測が主流でしたが、一ヶ月経って首都キエフを占領するどころか、米国防総省は「ウクライナ軍に押し返され、約20kmを失った」と発表しています。

もちろん、ロシア軍の弱さや、NATO支援もありますが、ウクライナ軍の抵抗の頑強さは予想以上です。

たとえば、ウクライナ西部にある地ビール工場「プラウダ」は、侵攻を受けた翌日から、ビール製造ラインを使って火炎瓶の製造を始めました。戦車が市街地に侵入しようとしたら、建物の上層階から火炎瓶を投げつけることによって妨害できます。

また、鉄筋コンクリートに使われる鉄材を使って、「鉄ビシ」も大量に造られています。忍者が使う「撒(ま)きビシ」を大きくしたもので、鋭い頂点が6つ突き出しています。これを路上に多数、撒いておけば戦車を足止めさせ、そこを上から火炎瓶で攻撃できます。

砲撃や巡航ミサイルで外から都市を攻撃することはできても、実際に都市を占領するためには、戦車と歩兵部隊が侵攻する必要があります。

ウクライナの多くの国民が、こういうお手製の武器を作り、ロシア軍に対してゲリラ戦を仕掛けているので、
そう易々と都市を占領することはできないのです。このように、国民が一致協力して侵略に抗して立ち上がれるのは、ウクライナという国家への愛国心が培われていた証拠です。


帝国主義者は言語と文化を攻撃する

この愛国心の力を知っているからこそ、「民族を征服するための手段として、帝国主義者はまず『言語』と『文化』を攻撃する」(p12)わけです。

ウクライナで行われた、第二次大戦時のスターリンによる民族移住政策をみればその意味がわかります。

クリミア半島に住んでいたクリミア・タタール人を中央アジアに強制移住させ、その代わりにロシア人を移住させたのです。

クリミア・タタール人は第二次大戦でドイツ軍がクリミア半島を占領すると、ソ連から独立する好機と捉えて協力しました。スターリンはその復讐として、約20万人のクリミア・タタール人を強制移住させたのです。移動中に1万人ほどが餓死し、その年の内に約半数が餓死したと記録されています。

ウクライナは、ソ連崩壊後に独立すると「本国帰還支援プログラム」を実施し、追放されたクリミア・タタール人の子孫に祖国へ戻るよう呼びかけました。15万人以上がそのプログラムを利用して、故郷の地へ戻りました。

「ロシアは我々を追放した、ウクライナは我々に祖国を取り戻した」という意識が強いためか、ロシア占領軍と戦うウクライナ軍の中にはクリミア・タタール人の志願兵だけで、できている部隊もあるそうです。(p32)。

ウクライナ人とクリミア・タタール人は、民族は違っても両者の協力の歴史が、それぞれの共有部分となって、連帯を支えているのです。

なお、これに対し、プーチン氏は昨年7月に発表した論文で、ロシア人とウクライナ人は「一つの民族」であり、「ウクライナの真の主権はロシアとの協調によってのみ可能だ」と主張しています。また、侵攻直前には、ウクライナをロシアの「歴史的領土」と称し、ウクライナの国家としての正統性を疑問視する発言もしています。

【この続きは午後に掲載します。】



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