コラム(501):
Ⅰ.中国の未来――江沢民氏の死がもたらすもの
2022年という年を振り返る時、覇権主義中国の跳梁跋扈が世界を危機に陥れたことは紛れもない事実です。
一方で、日本の反撃能力の確保という国防面での歴史的転換も、また、防衛費の大幅増も中国を意識してのもので、わが国の安全保障政策をも転換させる原動力にもなっています。
それでは、世界に災厄をもたらす国家となった中国は来年どうなるのか、当ブログでは四日間にわたって、専門家の目を通して現状分析し、中国の未来を予測してみたいと思います。
江沢民氏の死がもたらすもの
江沢民が死にました。96歳だったそうですが、この発表は10月30日にありました。時を同じくして、白い紙の革命。いわゆる白紙革命が全中国に広まった途端に消えてしまいました。これは江沢民の死去と非常に関係があると思います。
それから江沢民が死ぬ2日前、イギリスのスナク首相が「中国との黄金時代は終わった」という話をロンドン市内の演説でやっております。かつて黄金時代と呼ばれた蜜月ハネムーン時代は終わったとスナク首相は明言しました。「中国が私たちの価値観と利益に体制上の挑戦をしている。中国の覇権主義が強まるにつれ、この課題はより深刻になっている」とも。
実はこの2日後に江沢民の死亡が発表されていますが、恐らく江沢民の死去は、裏の情報で伝わっていたんじゃないかなと思います。
どういうことかと言いますと、キャメロン首相の頃、英中関係は本当にベタベタな関係であったわけです。そして中国の経済は調子が良いので、それにうまくイギリスも取り入って、特にイギリスの金融資本はうまいことをやっていましたし、もっとうまいことをやろうとしていました。
このときは、チベット人がどんなに苦しんでいるとか、ウイグル人がどんなに苦しんでいるなんて全くお構いなしで、まさに中国の皇帝さまに拝跪するように、三拝九拝するような、そして金さえ儲かれば何でもやりますというイギリスのプライドも何もないような外交が行われていました。
そして、習近平の方もイギリスに行ってエリザベス女王に会った頃は、江沢民の解放改革路線に乗っていました。胡錦涛10年、その前の江沢民10年、20年がいわゆる解放改革で、その間に中国は経済が大発展した。高度成長したわけです。
江沢民時代が事実上20年続きましたが、江沢民時代とは何だったかというと、一番仲良くした国の一つがイギリスです。イギリスの金融の力を借り、そしてドイツの製造業の力を借りて、アメリカと対抗していく。もちろん、アメリカのウォールストリートにも、マネーグローバリストはお金のためならグローバリズムも国も売りますという人たちがいっぱいいるので、その人たちとも仲良くする。
しかし、アメリカというのは中国が伸びていけば、太平洋を挟んでライバルになるに決まっている。そうすると、中国としてはそのために味方が欲しい。その中で2つのヨーロッパの国が力になるぞということです。
金融的、情報的にはイギリスだと、そして製造業の力をつけるにはドイツだということですね。ドイツもイギリスもそれを承知で、反米というアメリカに対抗するために中国が力を伸ばしている。その中国に力を貸してやろう。そして、中国をうまく伸ばして、自分たちの経済利益にもしていこうという方向で動いていました。
ですから、英米はそのときから、思惑が相反していました。江沢民時代はイギリスと仲が良かった。だから、江沢民が死んじゃったら、そして習近平が方向転換して、もう鎖国するよと。ヨーロッパの国とも付き合えない。イギリスとも付き合わないで、ロシアなんかと付き合っていくんだ。それでいいんだという方向。再鎖国をやって再社会主義化をもう一度するんだという方向に来た以上、イギリスはお払い箱なんです。
イギリスが中国と仲良かったというのは、江沢民時代にズブズブの関係にあったわけですから。ところが江沢民派、反習近平派は失脚し、そして習近平も初期の解放改革路線、江沢民路線を踏襲する路線から完全に外れてきた。
この路線をやっていると、江沢民派の人たちの力を排除することはできない。江沢民派の人たちをどんどん賄賂、この腐敗問題で牢屋にぶち込んで、そして自分の独裁権力を作っていくということは、その江沢民派の連中がやっていた金儲けの形も否定しなきゃいけない。今までの解放改革路線を続けている限り、江沢民は経済的に力を持ち続けていく。ですから、解放改革路線を逆転する。鎖国政策にする。そして自分の権力を維持していく、拡大していくということ。そういう方向に再社会主義化していく。
(明日は『英中蜜月の終焉』です)
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