赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナの次はポーランド コラム(397) 

2022-03-11 08:22:47 | 政治見解


コラム(397):ウクライナの次はポーランド


ロシアによるウクライナ侵略、これを我がこととして深刻に受け止めているのがポーランドではないでしょうか。


ポーランド人はウクライナの悲劇をどう見ているのか

ウクライナからの避難民を手厚く保護するポーランド人がよく報道されていますが、彼らは一様に「明日は我が身」と述べています。その理由は、ポーランドが10世紀に国家として認知されて以来、幾度となく侵略され分割を余儀なくされた悲しい歴史を持った国家だからです。

近現代の歴史だけでもポーランドは、帝政ロシアの時代、ソ連の時代、ロシア人からずっと圧迫を受け隷属せしめられてきました。司馬遼太郎さんの日露戦争を描いた『坂の上の雲』のなかにも、ポーランド人がロシア軍の一員として組み込まれていた記述があったことを思い出す方もおられると思います。

なぜ、ポーランドはロシア人に圧迫されつづけるのか、それはポーランドがスラブ語圏の国家であることに由来するからだと思われます。

帝政ロシア時代に起源を持つ「汎スラブ主義」思想にかぶれたプーチン氏は、東スラヴ民族(ウクライナ人、ベラルーシ人、ロシア人)のみならず、西スラヴ民族(スロバキア人、チェコ人、ポーランド人)、南スラヴ民族(クロアチア人、セルビア人、ブルガリア人など)を糾合して、3億人規模の帝国を構築したいと思っているようなのです。

ただし、スラヴ民族といった概念は、ひとつの民族を指すのではなく、本来は言語学的な分類に過ぎないのですがプーチン氏は都合よく解釈しているようです。

したがって、プーチン氏にとってウクライナ侵略はスラブ民族統一の第一歩にすぎず、次の標的はウクライナの隣国・ポーランドに向かうのは必然となります。それだけに過去の経緯を心に刻み込んでいるポーランドの人びとには、ウクライナの悲劇は他人事ではないのです。

なお、ポーランドはNATOに加盟していますが、ロシアはポーランド国内の親ロシア勢力を通じて内部から空洞化させればいいとも考えていること明らかです。


プーチン氏を唆す人物



古臭い汎スラブ主義思想をプーチン氏に吹き込んだのは大統領補佐官のメジンスキー氏のようです。メジンスキー氏はウクライナとの停戦交渉におけるロシア側の代表になったので顔が知れ渡りました。同氏は国会議員を経て、42歳の若さで文化省の大臣に就任。ロシアの歴史を正当化する論文や本を多数書いて、プーチン氏の最側近にまで上り詰めた人物です。

同氏は、軍人の経験はないとされていますが、人相学的に見ると目の奥に激しいものがあり、残忍なここに対しても平然とやりとげる性格であるように見えます。これが、冷酷非情なプーチン氏と馬が合う理由かもしれません。二人の残忍な性格が共鳴し、互いに増幅させて民間人の大量虐殺さえも厭わない残酷な仕打ちをすることができるのだと思います。

しかも、ロシアはウクライナを同じ民族であると標榜しているにもかかわらず、歴史的・文化的に価値あるものさえも破壊することさえ厭いません。歴史的・文化的遺産を破壊する行為は自らのアイデンティティを破壊する行為なのですが、それでも平然とやってのけます。

既に博物館1カ所が攻撃を受け、貴重な絵画が焼失しました。また、ウクライナの「ヴェルサイユ宮殿」と言われているチェルニウツィ大学の建造物(1882年に完成)も破壊されてしまいました。この暴挙をたとえるなら、日本人自らが奈良や京都の歴史的文化的な遺産をミサイルで攻撃するのと同じです。

したがって、ロシアの暴挙をやめさせるためには、プーチン氏を唆すメジンスキー氏の人物解析を急ぎ、彼の弱点とそれに対する対策をたてることも、ウクライナの被害を食い止める一つの方法になると思います。


現在、プーチン氏は妄想の中にとらえられているように見えます。まるでピョートル大帝のツァーリズム、あるいは汎スラブ主義の幻想の中で生きているようで、過去の思想的残骸を現代に復活させようとする行為は、まさに胡散臭いカルト宗教の教祖と言っても過言ではありません。

しかもロシア人は絶対に約束を守りません。かつて日本も、ソ連による日ソ不可侵条約の一方的な破棄と参戦で、満州で多くの日本人が強奪・強姦の憂き目に、そして樺太・千島は簒奪され、捕虜はジュネーブ協定違反のシベリア抑留などさんざんな目にあわされました。

現在、ロシアはウクライナでも平気で約束を破って戦時国際法で禁じられている非戦闘員まで虐殺をはかっているくにですから、ロシアの言うことなどは一切信用してはいけないのです。これからもウクライナの悲劇はポーランド、その次はジョージア、そして西に、南にと広がっていくと思われます。



一刻も早くプーチン氏の暴走を止めてほしいと願わずにはいられません。




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