コラム(479):グローバリストの暗躍
アメリカの中間選挙、下院はトランプ氏側の共和党が圧勝のようですが、上院はこのブログを掲示した0時の時点ではまだわかりません。だいぶ時間がかかるのではないかと言われています。ただし、アメリカの考え方が、エスタブリッシュメントから国民に至るまで、どうもバイデン離れ、民主党離れが出てきたように見え、彼らを操っている、国家が嫌いで租税回避地に莫大な富をため込むグローバリストにとっては、危機の前兆になっているようです。
ここからは、グローバリストと呼ばれる現在の地球の支配者といってもいい人びとの本質を探り、彼らの意思と、また彼らの意思に反発する動きをとらえながら、いま私たちがどんな政治的な環境に置かれているのかを何回かに分けて論じてみたいと思います。
(『エネルギー危機を演出した原発推進派』のつづき)
グローバリストの本質
“部分的動員”という名目で強制的に徴兵することで若者らを国外に流出させしまったロシアですが、ここにきて富裕層からも国籍離脱者が出始めています。約2000万人の顧客を抱えるロシアのオンライン銀行大手「ティンコフ銀行」創業者のオレグ・ティンコフ氏もその一人です。
ただし、若者らの国外退避と富裕層の国籍離脱は事情が違うように思います。富裕層は、ロシア国籍ではあったものの国際的な「無国籍企業の富裕層」に分類してしかるべきだと思います。
すなわち。彼ら富裕層の多くは、グローバリストとして国際的ビジネスを展開して財をなし、タックスヘイブンでそれを蓄える、といった人が多いように感じます。だから、国籍は単にパスポートを提示するときに必要なものに過ぎず、簡単に国籍を捨てられるのだと思います。
いま世界を動かしているのは、国際的に名の通った政治家ではなく、またGAFAでもなく、かれらグローバリストの富裕層ではないかと思うときがあります。(ただし陰謀論の視点ではありませんから念のため)
彼らは莫大な資金を使ってある時は水面下で政治を左右し、またあるときは内外の世論を操作し、対立と分断を加速させ、いずれも金儲けに結びつけているのではないのか。「そんなにお金を貯め込んで何が楽しいの」、と思うのは素人考えで、とにかく、富の寡占を図っていることが「命」になっているようにしか見えません。
SDGsはグローバリストのためのもの
最近流行りのSDGs(Sustainable Development Goals)も彼らが主導しているものですが、どうも最終目標が彼らの世界観で世界を支配し、統制経済に持っていく考え方ではないかと思うことがあります。そもそも、「持続可能な開発」を実現するためには強力な統制力が必要で、それは社会主義的な統制社会を作ると言っているに等しいと思えるのです。
要は、グローバリストが、手足にインターナショナリズムの社会主義者を使って、寡占的あるいは独占的に無国籍情報資本や無国籍金融を統制していく目的が裏に隠されているように感じられます。したがって、新しい資本主義などとの表現は、実は社会主義的な統制のことあり、SDGs という大義名分によって自由経済を圧殺していき統制社会を作り、今の独占的な経済特権的な立場を永久化しようとしているのではないかと思うのです。
グローバリズム、国民国家、部族主義
いまや世界の主流になりつつあるグローバリズムですが、それに激しく抵抗した政治家がいます。ご存知、トランプ前アメリカ大統領です。
トランプ氏は反無国籍企業、反多国籍企業、反無国籍富裕層です。トランプは企業が大儲けしても、ちゃんとアメリカに税金を払えよと言える立場です。だからこの無国籍企業的なグローバリストと戦っていたわけで、国民国家という概念ではそれを代表する人物だったと言えます。その分、トランプ氏はグローバリストからは徹底的に攻撃されました。
もともとグローバリストとトランプ氏の間では、国家に対する考え方が違います。簡単に言えば、グローバリストにとって、国家は不要なもの。トランプ氏にとって、国家は守るもの、構成員たる国民を守るものという違いがあります。これに、部族主義という考え方がありますので、基礎知識としてまずお伝えします。
「グローバリズム」は、EUなどの地域主義から発展した考え方で、国家という枠組みを取り払おうというものです。経済や貿易における規制を排除し、世界の一体化を目指す思想を指し、国民国家の主権を外部から奪い取ろうとする作用を持ちます。多国籍企業を含む無国籍企業の経営者、グローバルな投資家などがここに分類され、所属している国家はないと考えていますからタックスヘイブンで租税逃れをしている人が多いのが特徴です。
社会主義インターナショナルに近いところがあるのでマルクス主義者崩れが親近感を持つようです。日本で言えば朝日新聞などが、グローバリズムが大好きだといえば、その意味がわかると思います。
一方、一般に私たちがいつも所属を意識するのが国家で、世界中の国々は民主主義国家であろうが専制国家であろうが「国民国家」としての形態をとっています(そうしないと国際社会から国家として認定されないからです)。
国民国家の定義は、共通の社会・経済・政治生活を営み、共通の言語・文化・伝統をもつ、歴史的に形成された共同体であるとされます。いろんな局面で出てくるナショナリズムや愛国心といった感情は国民国家の構成員であることを自覚しているから生まれてくるものです。現在の人類の殆どが国民国家に所属しています。
なお、もう一つ「部族主義」という概念があります。共通の言語、宗教、文化遺産などによって結合された集団である自己の部族に対し,最高の忠誠を排他的に付与する集団的態度ないしは精神と定義され、これは国民国家の主権を内部から揺るがそうとします。スコットランド独立とかカタルーニャ独立運動などの例があります。また、アラブ社会では国民国家の形態をとっていても本質は部族主義だと言われています。
いま、世界的にはこの三つの流れが全然違うベクトルとなって動いていて、今後どうなるのかの予測はできません。なお、中国や、ロシア、北朝鮮のような専制国家の概念は民主主義との対立概念で、上記の分類とは無関係です。
以上の視点を踏まえて、人種のるつぼとしてとしての文明実験場のアメリカが、グローバリストによって相当に引っ掻き回され大混乱に陥っているのですが、それをグローバリズムと反グローバリズム(国民国家)の戦いとして分類観察すると意味が分かりやすくなると思いますので、次回、これをお伝えしたいと思います。
(『グローバリズムvsアメリカンファースト』につづく)
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