北朝鮮ミサイルの本音は「食糧よこせ」:230221情報
このところ毎日のように、北朝鮮はミサイルを発射しています。
2月20日のNHKニュースでは以下のように伝えています。
防衛省は、20日午前7時ごろ、北朝鮮から弾道ミサイル2発が発射されたと発表しました。いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられるということです。
一方、北朝鮮は、600ミリ口径の「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイルの2発の射撃訓練を行ったと国営メディアを通じて発表しました。
そして、昨年から今年にかけての北朝鮮ミサイル発射について以下のように伝えています。
北朝鮮は去年、かつてない頻度で弾道ミサイルなどの発射を繰り返し、1年間で過去最多の37回、少なくとも73発に上りました。このうち、
▼去年9月から10月にかけては、「戦術核運用部隊」の訓練だとして、中距離や短距離の弾道ミサイルなどを相次いで発射し、あわせて10回に上りました。
▼去年11月には、アメリカと韓国の空軍による大規模な共同訓練に対応するなどとして、ICBM=大陸間弾道ミサイル級を含む発射を繰り返し、この月の発射は6回に上りました。
▼去年12月にも、18日に準中距離とみられる弾道ミサイル2発、23日に、短距離弾道ミサイル2発、31日に短距離弾道ミサイル3発を日本海に向けて発射していました。
▼ことしに入ってからは、元日に短距離弾道ミサイル1発を発射したほか、18日にもICBM級の「火星15型」1発を発射していました。
日本のメディアは専門家による「アメリカをターゲットにしたICBM級のミサイルの発射実験を行うことで、アメリカに対する打撃力があると示したとともに、日米韓3か国に対する警告とも考えられる」という話を統一見解にしているようですが、どうもその奥にある「真意」までは語っていないようです。
それは、飢饉状態【※1】にあると言われる北朝鮮が「援助してくれ」というサインを意図的に無視しているからではないかと思われます。専制独裁国家に食糧援助などしようものなら現体制を延命させる手段になってしまうため、その問題には触れないでおこうというのが暗黙の了解のような気がします。
【※1】飢饉状態:高英起氏の『北朝鮮「首都市民の4割が飢餓状態」の衝撃情報』では「平壌は表向き、飢えている人がいないように見えるが、10世帯のうち4世帯の割合で飢えに苦しんでいる」、「実は平壌市内にも、優遇されている市内中心部の11区域を指す30号対象と、それ以外の8区域と2郡を指す410号対象という区別があるのだが、前者に属する平川区域ですら絶糧世帯が続出しているのだ」と記されています。
かつて、北朝鮮ミサイルは、「援助をよこせ」という砲艦(ミサイル)外交を得意としていました。
共産党の専従職員であった篠原常一郎さんのお話を聞くと、北朝鮮の本音が透けて見えます。ここに一部を引用してみます。
ミサイルを読む時に私は学んだのです。何を撃ったか、一番単純な判断の基準は、何キロ飛ぶものを飛ばしたかということです。もう1つは飛ばす方向です。そうすると、日本海側に飛ばして日本の排他的経済水域に入らない撃ち方をずっとしています。ということは、これは韓国にしか届かないものです。韓国を選挙の最中に揺さぶったということです。
揺さぶる意味は2つあって、1つは韓国の世論を刺激することです。そういう時、韓国世論は与党にくっつきます。もう1つは、「俺困ってるから、何とか金よこせ」です。同じことが2010年に起こっています。
2010年の11月に、延坪(ヨンピョン)島という所が撃たれました。あれは、実は韓国を直接撃ちました。撃たれたら金を出せません。どこが金を出したか知っていますか。
中国です。あの動機について調べて驚きました。あの年はロシアで大山火事があって、ロシアが穀物を輸出しなかった年なのです。そうしたら、穀物市況が上がってしまったので、北朝鮮はなけなしの金で穀物の輸入ができなくなりました。
当時、核実験の余波で、経済制裁で中国ですら米の輸入をやめていたのを、あの事件で再開させました。何かと言うと、あれは黄海、中国側の海でことを起こしたのです。すぐ近くは大連や旅順です。そういう所で事件を起こして、あれは中国に対する明確なメッセージです。
しかも、ロケット弾事件の指揮を執ったのは金正恩です。後で2012年になってから『朝鮮中央通信』が発表しています。ですから、今の金正恩体制の典型的なやり方です、ミサイルを撃つというのは。そして、アメリカに届かなければアメリカは、トランプ大統領が「短距離ミサイルはうちには関係がないから」と言ったことがあります。「ICBMだったらただじゃ置かないけど、短距離ミサイルだったらいいよ」ということでしょう。短距離ミサイルだって国連決議には違反しているのです。
違反しているけども、この間撃ったのは少し含みがあって、対艦ミサイルなのです。艦艇向けのミサイルなので、「多少アメリカも気にしてよ」と言いたいのだと思います。あれは空母に撃つものだからです。ただ、性能の悪い古い、150キロしか飛ばないものです。そういうような、いちいち使っているものには意味があるということは考えた方がいいです。
武器の種類、方向、距離、そういったものに全部意味があるということなのです。
北朝鮮も相当苦しいのだと思います。今コロナのあおりで、密貿易ができなくなってしまっているわけですから、食料もかなり困っているでしょう。
一連のミサイル発射の真意は今のところわかりませんが、少なくとも北朝鮮の飢餓状態への支援を求めていることは推測できると思います。ミサイル恫喝の裏に切実な願望があるのではないかと思います。
さて、24日からは、北朝鮮による日本工作の話を、元日本共産党の篠原さんからお伺いしてみたいと思います。共産党出身者だけに秘密のベールに包まれたお話を伺えそうです。
つづく
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