赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

②中国版リーマンショック――屈辱の経団連の「叩頭外交」

2023-09-22 09:00:00 | 政治見解



②中国版リーマンショック――屈辱の経団連の「叩頭外交」 :230922情報


昨日からのつづきです。いま中国で起きている経済崩壊の真相を国際政治学者に語っていただきました。


中国のバブル崩壊は一国の封じ込められた現象

上海総合指数が暴落した今、中国政府が強権を発動して、主の法人や株式売買やっている信託業に売り越しはいけないと言っています。株価も下げてはいけないという命令を出して、無理やり強制して、株価をフリーズさせようとしているのですけど、それも特に海外勢は完全に中国の株を売り抜けています。

さらに中国の恐ろしいことは、バンク系の企業についてはわかっているのですけど、ノンバンク系の投融資がいくらあるかわからないということです。

2023年6月末の中国の総融資残高で銀行系が230兆元、ノンバンク系が134兆元と言っているのですが、これの数字に現れていないシャドーバンキングも広範囲に存在しているのが中国という国になります。一度不良債権が始まると歯止めのきかない連鎖倒産というのが起きてくるのではないでしょうか。これが非常に心配されています。

影響があるとすれば、特に中国に対して輸出比率が高いアメリカの企業の株価が下がり、これはテキサス・インスツルメントも同様ですが、中国輸出の売り上げが半分近いところの株価が下がりました。例えば、アメリカの半導体のクアルコムの株価が8月中旬までの1ヶ月間で12%下がったということです。

これは同社の売上の6割以上を中国市場が占めていたからということ、先ほどのテキサス・インスツルメントも中国市場依存率が5割弱というので、1ヶ月で9%くらいの株価が下がりました。それでも、これはウォールストリート全体の暴落ということには結びついていません。

中国の不動産バブル崩壊、金融バブル崩壊は中国が比較的に一国の封じ込められた現象であるということです。

もう一つ言えるのは、今年の春ぐらいから中国でコロナが終わったので、中国が本格的に経済復活するけど需要は14億の人口ですごいから、それは中国に対して原材料や半導体などの様々な分野で輸出が増えるのではないかということになります。

それを期待していた動きがあるのですが、それに対して私はそういうことは起きないと思います。中国の経済崩壊・解体は本格的なものであって、元に戻ることできない不可逆な問題でしょう。習近平さんは、社会主義側・鎖国化側の方向に舵を切っているということを申し上げました。それが今、実態になっているということだと思います。


経団連の「叩頭外交」は「恥を知れ」

日本企業でも中国に依存しているところの将来性が非常に薄いです。ここでまた経団連が来年1月に中国詣でをやると言っていますけれども、そこに行って「中国様お願いします」という感じの「叩頭外交」というか、土下座外交みたいなことをやってみても無駄です。

中国での需要そのものが非常に減少しているわけですから、この貴重な需要を海外企業に分け与えるということはありません。どうしても必要なものしか市場のシェアは与えてくれないのです。

今後、中国に期待するということは完全に間違ったことであり、中国経済には黄金時代という素晴らしい高度成長期は来ません。

日本も1960年代から90年代にかけて長めに見れば40年くらいのゴールデンエイジがあったわけです。そのときは日本もいっぱい経済が非常に伸びましたが、それ以降は駄目であると同じようなことで、中国も30年から40年、非常に良い時代があったということでしょう。

その時代は対外侵略をやらないし、台湾に攻めていくということも言わないし、南シナ海の島を乗っ取ったり、周りの国を脅かしたりすることもしませんということで、なおかつ世界の言うことを聞いて、政治的にはおとなしくして国内の大量の若い労働力が低賃金労働者として沢山いるから、彼らを使って中国に工場進出して安く物作りしてくださいということで中国経済がうまくいってきました。

ところが習近平さんになって「我が国は大国である」ということで、アメリカの覇権にもチャレンジするし、政治的な問題に対してどんどん摩擦を引き起こしていき、今までは口だけで言っていたけど、台湾の併合に対しても武力侵略を躊躇しないということを言い始めました。

一帯一路も世界に対する中国の覇権獲得、アメリカを追い落として世界一の覇権国になるという宣言です。

そして、国内では2010年くらいから人口ボーナスがなくなって、人口オーナスになりました。

人口オーナスというのは、働かない人の方が働く人よりも多い状態のことです。こうなると、どのような国でも経済発展というのは非常に難しくなってきます。日本も人口ボーナスがある状態から、人口オーナスの状況になって経済発展が非常に鈍化してきました。

経済発展というのは人口だけで決まるわけではありませんが、人口ボーナスと言われる働く人の人口が働かない人の人口より多いときは放っておいても、今のインドみたいに経済がどんどん発展します。これを妨害しなければ発展するという好機でもあるのです。

だから、政治的には対外侵略を絶対しないという約束を鄧小平はしました。そして鄧小平は事実上、低姿勢でいくということで輸出革命もしないし、台湾に対しても武力で手をつけないという一札をアメリカに入れたわけです。

それから国内の低賃金労働力を活かして経済発展させるために外国から技術と資本を持ってきてもらうというのが経済的条件でした。だから、中国高度成長時代を支えた政治的条件と経済的条件が永久に失われてしまったのです。要するに中国の黄金時代は終わり、中国の高度経済成長が戻ってくることもありません。結論は以上ということになります。これを再確認しておいていただきたいと思います。

40年にわたる経済成長モデルそのものが終焉したということです。これは中国が好きとか嫌いとか、そういうこととは関係なく、客観的な事実です。


(了)



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