コラム(493):
①ウクライナの人びとの「自由を守る戦い」に学ぶ
日本共産党の志位さんがこんなツィートをしています。
「自分の国は自分で守る」というレトリックに騙されてはならない。「敵基地攻撃能力」で守ろうとしている本命は米軍だ。日本に対する武力攻撃がなくても、米国が海外で戦争を始めたら、集団的自衛権を発動し米軍とともに戦う。その結果は?相手国の報復攻撃による国土の破壊だ。力合わせ止めよう!
どうやら志位さん、軍事国家の中国、ロシア、あるいは北朝鮮が日本に攻めてくる際、積極的に協力して、傀儡政権の首班になるつもりのようですね。自分の利益のために日本国民を犠牲にすることなど、なんとも思っていないということがよくわかるツィートです。
少しは、ウクライナ出身で日本在住のアンドリー・ナザレンコ氏の『自由を守る戦い 日本よ、ウクライナの轍(てつ)を踏むな!』という本を読んでみたらいかがでしょうか。
この本には衝撃的なお話も掲載されています。
「私はオーストリアで生まれ、
ポーランドで育ち、
ハンガリーの学校に行き、
ソ連で就職し、
いまウクライナに住んでいる」
「大変な人生でしたね」
「いや、私は生まれてから今まで一度もこの街を出たことがない」(p10)
これだけ多くの国々に支配されながらも、独立を諦めずに、現在もロシア軍と果敢に戦うウクライナ人の「自由を守る戦い」には、心動かされます。
その背景を、ナザレンコ氏はこう語っています。
「言語と文化さえ保つことができれば、たとえ一時的に独立を失ったとしても、国家を復興する機会は必ず巡ってくるとも言えるのかもしれない。」(p13)
この思いを、ウクライナ国民は現在の戦争で見せつけているのかもしれません。
当初、ロシア軍が数日で主要都市を制圧するだろうという予測が主流でしたが、一ヶ月経って首都キエフを占領するどころか、米国防総省は「ウクライナ軍に押し返され、約20kmを失った」と発表しています。
もちろん、ロシア軍の弱さや、NATO支援もありますが、ウクライナ軍の抵抗の頑強さは予想以上です。
たとえば、ウクライナ西部にある地ビール工場「プラウダ」は、侵攻を受けた翌日から、ビール製造ラインを使って火炎瓶の製造を始めました。戦車が市街地に侵入しようとしたら、建物の上層階から火炎瓶を投げつけることによって妨害できます。
また、鉄筋コンクリートに使われる鉄材を使って、「鉄ビシ」も大量に造られています。忍者が使う「撒(ま)きビシ」を大きくしたもので、鋭い頂点が6つ突き出しています。これを路上に多数、撒いておけば戦車を足止めさせ、そこを上から火炎瓶で攻撃できます。
砲撃や巡航ミサイルで外から都市を攻撃することはできても、実際に都市を占領するためには、戦車と歩兵部隊が侵攻する必要があります。
ウクライナの多くの国民が、こういうお手製の武器を作り、ロシア軍に対してゲリラ戦を仕掛けているので、
そう易々と都市を占領することはできないのです。このように、国民が一致協力して侵略に抗して立ち上がれるのは、ウクライナという国家への愛国心が培われていた証拠です。
帝国主義者は言語と文化を攻撃する
この愛国心の力を知っているからこそ、「民族を征服するための手段として、帝国主義者はまず『言語』と『文化』を攻撃する」(p12)わけです。
ウクライナで行われた、第二次大戦時のスターリンによる民族移住政策をみればその意味がわかります。
クリミア半島に住んでいたクリミア・タタール人を中央アジアに強制移住させ、その代わりにロシア人を移住させたのです。
クリミア・タタール人は第二次大戦でドイツ軍がクリミア半島を占領すると、ソ連から独立する好機と捉えて協力しました。スターリンはその復讐として、約20万人のクリミア・タタール人を強制移住させたのです。移動中に1万人ほどが餓死し、その年の内に約半数が餓死したと記録されています。
ウクライナは、ソ連崩壊後に独立すると「本国帰還支援プログラム」を実施し、追放されたクリミア・タタール人の子孫に祖国へ戻るよう呼びかけました。15万人以上がそのプログラムを利用して、故郷の地へ戻りました。
「ロシアは我々を追放した、ウクライナは我々に祖国を取り戻した」という意識が強いためか、ロシア占領軍と戦うウクライナ軍の中にはクリミア・タタール人の志願兵だけで、できている部隊もあるそうです。(p32)。
ウクライナ人とクリミア・タタール人は、民族は違っても両者の協力の歴史が、それぞれの共有部分となって、連帯を支えているのです。
なお、これに対し、プーチン氏は昨年7月に発表した論文で、ロシア人とウクライナ人は「一つの民族」であり、「ウクライナの真の主権はロシアとの協調によってのみ可能だ」と主張しています。また、侵攻直前には、ウクライナをロシアの「歴史的領土」と称し、ウクライナの国家としての正統性を疑問視する発言もしています。
【この続きは午後に掲載します。】
お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
FBは https://www.facebook.com/akaminekaz