コラム(494):
②ウクライナの人びとの「自由を守る戦い」に学ぶ
引き続き、ウクライナ出身で日本在住のアンドリー・ナザレンコ氏の著書『自由を守る戦い 日本よ、ウクライナの轍(てつ)を踏むな!』からの学びを書きます。
ロシア系住民に無条件で国籍を与えた過ち
前稿のクリミア・タタール人と正反対の立場に置かれているのが、ウクライナに住むロシア系住民です。クリミア・タタール人と入れ替わりに入植したロシア人は、ソ連崩壊後にウクライナが独立した際に、無条件でウクライナ国籍が与えられました。
こういうロシア系住民の中にはウクライナに住み、ウクライナ国籍を持ちながらも、ロシアへの帰属意識を持つ人々が多いのでしょう。
ロシアは2014年にクリミア半島内のロシア系住民を保護する、という名目で軍事介入し、「クリミア共和国」のウクライナからの独立とロシア連邦への編入を求める住民投票で正当化しました。投票所の周りには「クリミアはロシアである」というプラカードを持ったロシア軍人が立ち並び、投票用紙を数えたり、結果を発表するのもロシア軍関係者でした。
そんな偽投票に参加するのは、親ロシア派だけでしょう。ナザレンコ氏は、そもそもウクライナ独立時にロシア系住民に無条件でウクライナ国籍を与えてしまったところに、問題があったと指摘しています。
「新しくできたウクライナ政府は.当時国内に在留していた人々に例外なく国籍を与えることにした。ウクライナの北にあるバルト三国の場合、国籍を得るための試験があった。国語を話せるかどうか、法律を知っているかどうか、共通の歴史認識を持っているかどうか、などによってそのまま国籍を与えて、住まわせ続けていいかどうか、参政権を与えていいかを判断したのである。」
「ところがウクライナでは、そうしたハードルを一切課さなかった。そのため、ソ連時代から入植していた帝国主義の思想を持っているロシア人も皆、参政権を有することになってしまった。ロシア人の帝国主義者からすれば、ウクライナ民族、ワクライナ語は存在しない。」
「元々、ウクライナはロシアの一部という認識が非常に強い。このような人たちに政治的な権利を与えたことは大きな過ちだった。」(p16)
ウクライナへの愛国心、忠誠心を持たないロシア系住民が投票権を持ったことによって、ウクライナの独立が脅かされたのです。これが現在でもウクライナのアキレス腱になっています。
国内に住みながら、他国の「根っこ」に繋がった人々がいる、という問題は他人事ではありません。我が国でもあっち系の人々が、「外国人参政権」を主張する背景はこういうところにあるのです。
国家とは、家賃さえ払えば誰が住んでも自由という「雑居アパート」ではありません。バルト三国のように、同じ屋根のもとで力を合わせていこうという意思を持った外国人のみを受け入れて、国籍と選挙権を与える、というのが、国際常識です。
しかし、戦後のGHQは「歴史伝統教育は軍国主義につながる」というプロパガンダによって、私たちの歴史と文化を断ち切ろうとしました。そして、それを嬉々として受け継いでいるのが日本共産党であり、朝日新聞を中心とした左派メディアです。
したがって、国民の自由と独立への意思を強めるには、日本人としてのアイデンティティである歴史と文化に回帰しなければならないのです。
ナザレンコ氏は次のように語ります。
「ところで、私が来日し、人生で初めて参拝した神社は原宿の『東郷神社』だった。ご存知だと思うが、東郷平八郎は日露戦争の日本海海戦でバルト艦隊を全滅させた英雄である。私は、現に生きた人が死後、神として祀られることにとても感動した。
教育の面から考えても、『立派な人生を送れば、あなたの名前は永遠に歴史に残り、千年経っても子孫に神として祀られる』という考え方は、『少しでも聖書に反することをしたら永遠に地獄に堕ちて苦しむ』という考え方より、よっぽどレベルが高いと思う。」(p65)
東郷提督を神として祀るのは軍国主義につながると主張する人もいるのは知ってますが、ロシア艦隊を全滅させたのは、ロシアの侵攻から国を守るためであり、かつ、その勝利はアジアのみならず、ポーランドやトルコ、フィンランドなど、ロシア帝国主義に苦しめられていた人々に、大きな希望を与えたのも事実です。
さらに人間としても、東郷提督は、負傷して佐世保の海軍病院で手当を受けているロジェストウェンスキー・バルチック艦隊司令長官を見舞い、ロシア将兵の勇敢な戦いぶりを称えました。その温情に、ロジェストウェンスキーは両眼に涙をため、ふかくうなだれて「神への感謝を込めて十字を切った」と伝えられています。
尋常でない徳をもった東郷提督を神と称えることは、良い人間教育でもあるのです。
アンドリー・ナザレンコ氏の著書『自由を守る戦い 日本よ、ウクライナの轍(てつ)を踏むな!』の一部だけを引用して、ウクライナという国家の歴史的背景を見てきましたが、考えさせられることがたくさんありました。
日本人としてのアイデンティティを破壊するには歴史と文化を破壊すればいいこと、それだけで愛国心は失われてしまいます。そして、在日外国人に無条件で参政権を与えてしまえば、日本の国家そのものが破壊されてしまします。
実際、多民族国家であるアメリカは国民の統合をはかるため公式行事でたびたび『忠誠の誓い』【※1】の暗誦が行われます。
忠誠の誓い【※1】:帰化した場合にはアメリカ合衆国憲法への忠誠の誓いのほかに、以前保持したすべての外国への忠誠の放棄の誓い、国内外の敵からアメリカ合衆国憲法を守る誓い、法律が定めた場合、兵役に従事する約束、国家の大事の際、法律が定めた市民としての義務を果たす約束を宣誓しなければならない。
今、わが国であっち系の人びとが主張していろいろやっていることが、外国勢力を手引きして日本侵略に加担していますが、かれらこそ、アンドリー・ナザレンコ氏の著書を読んで心に刻まねばならないと思います。
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