コラム(480):
②台湾侵攻が現実のものに――米軍の動向
(昨日の『①台湾侵攻が現実のものに――中国の動向』からのつづき)
米軍は、台湾侵攻「今年、来年にも」を想定
米海軍制服組トップのギルデイ作戦部長が、中国による台湾侵攻が起こり得る時期について「2022年や23年の可能性を排除できないと思う」と述べたことで急に世間が騒がしくなりました。しかも、沖縄の駐留米軍の動きが大きく変化していることを見れば、アメリカが開戦準備に入ったことがわかります。
10月28日の毎日新聞は「嘉手納F15戦闘機、来年退役 F22が巡回駐留へ 英紙報道/沖縄」とのタイトルで以下の記事を掲載しています。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版などは27日、米空軍が嘉手納基地に配備しているF15戦闘機を1年後に退役させる方針だと報じた。嘉手納に配備されているF15は全部で2飛行隊の48機と予備機6機の合計54機。同紙などは、退役はF15の老朽化が理由だとしている。一方、F15の退役後には、米アラスカ州に配備されている第5世代戦闘機のF22が、嘉手納に6カ月単位で切れ目なく巡回駐留する部隊に置き換える方針だとしている。
沖縄二紙はこの問題を取り上げ、騒音がどうのこうの、常駐がどうのこうのと言い始めていますが、沖縄の危機を知らず暢気なものです。
F22を巡回配備させるという意味は、
第一に、レーダーや赤外線探知装置などからの隠密性が極めて高いステルス戦闘機であるF22に交代させることで、空戦による戦闘空域の制圧を考えていること、
第二に、中国の台湾侵攻時は米軍基地のある沖縄に中国のミサイルが降り注ぐので、被害を最小限に食い止めるため巡回配備方式をとったこと、
第三に、米軍関係者の家族を米本土に引き揚げさせることによって費用軽減と戦時下で中国軍の標的にならないようにしていること、 などが考えられます。
これについてある軍事評論家の言を引用します。メディアとは全く違った視点であることに驚かれることでしょうト・・・。
・嘉手納にこれまで常駐していた米空軍のF-15戦闘機の2個スコードロン【※1】は、これから2年かけて全機撤収する。そのあとは、アラスカのF-22スコードロンが、ローテーションで嘉手納に飛来するように変わるであろう。
【※1】スコードロン:. アメリカ空軍における部隊編成の一つで、単一の機種で編成された航空部隊。通常「飛行隊」と訳されるが、場合によっては「飛行中隊」等と呼ばれる。部隊によって異なるが、戦闘機スコードロンであればおおむね20機以下の航空機で編成される。
・過去10年以上、ローテーション展開専用部隊として研究が重ねられてきたF-22が、いよいよ沖縄に「半常駐」を開始する。有事になったら嘉手納以外のあちこちの滑走路も使うつもりは満々と見た。家族を帯同しない。これは本気だ。
・嘉手納のF-15C/Dは、かれこれ三十年以上も使っているものなので、これにて「退役」となる。くたびれているのだ。
・F-22は、さっそく11月から飛来する。配備期間は半年となるであろう。したがって嘉手納所在の米軍戦闘機の数は、これからも減ることはない。むしろ、一時的には、F-15の退役ペースを、F-22の増派ペースが上回って、在沖の戦闘機数がサージするはず。
・嘉手納にはいま、第18ウイング麾下の、第44戦闘機スコードロン、ならびに第67戦闘機スコードロンが常駐していて、F-15は定数として計48機。 米空軍は、この嘉手納以外の基地には、F-16を三沢に常駐させている。それが空軍の戦闘機のすべてである。(あとは海軍と海兵隊の航空隊。)
・常駐からローテーションになれば、なにが変わるか。まずDoDは、カネを節約できる。空軍将兵のたくさんの家族を沖縄に住まわせておく経費は莫大なのだ。
・対支有事となれば沖縄のすべての飛行場には数百発のミサイル攻撃が降り注ぐわけで、嘉手納周辺に米軍の家族なんか置いているとそれが「人質」になってしまって、米国政府として手足を縛られてしまう不都合があった。
・在沖米空軍の主力が、ユニットごとに田舎飛行場を利用できるように研究されているF-22で置換されることにより、これから中共軍は何千発のSSMを用意しようが、米空軍の活動を止められなくなる。めでたし。
日本の動きは遅い
日本政府は陸海空自衛隊の部隊運用を統括的にまとめる「統合司令部」と作戦を指揮する「統合司令官」を2024年にも創設すると発表しました。これを。29日の日経新聞が伝えています。
・台湾有事を念頭に陸海空の部隊運用を一元的に担う
・作戦を指揮する統合司令官を設置し米軍と協力強化
・サイバー攻撃など組み合わせた複合リスクにも対応
新設される「統合司令部」は部隊指揮や現場でのカウンターパートナーとなる米軍との調整役を一手に引き受け、政府との調整役の「統合幕僚部」との役割分担を果たそうというもの。しかし、台湾有事が迫り、沖縄にミサイルの雨が降り注ぎそうになっているいま、時間をかけすぎのように見えます。
以上、米中の軍事的な動きを見れば、中国の台湾侵攻が差し迫った状況になっているというのがわかります。たとえ、侵攻部隊の全軍が海の藻屑になろうとも中国は進撃をとめることはありません。絶対権力者の前に抵抗もできず、逃げ出さないように後ろに督戦隊が控えている以上、遮二無二、突撃しなければならないのです。
その時、再び戦禍を味わうことになる沖縄県民はどうするのか。防空壕もなく降りしきるミサイルの嵐を呆然と眺めているだけかもしれません。
左翼は米軍がいたからこんな悲惨な目に合ったのだというでしょう。しかし、それは真実ではありません。米軍がいたからこそ沖縄は中国の侵略の手から守られていたのです。
米軍がいなければ、ハリネズミのように防御を固めた台湾より先に、おそらく2010年代の終わりにはウクライナのクリミア半島のように沖縄は切り取られて、沖縄の人びとはウイグルの民と同様の苦難の道を歩まねばならなかったでしょう。そこに思いが至るなら、中国の手先となった基地反対派のプロパガンダの洗脳から早急に目覚めなければなりません。
そして、いかにして命を守り、いかにして美しい沖縄を残していくかを真剣に考えなければならないのです。危機はもう眼前に迫っています。
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