赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

コラム(43) 「仕返し」の論理

2015-09-04 00:00:00 | 政治見解



コラム(43):「仕返し」の論理


問題の発生や世論の反対などで物事が大きく変更されてた次の段階では、必ずといっていいほど水を差す動きが出てきます。事例をあげて考えてみたいと思います。


国立競技場

2520億円にまで膨らんだ建設計画が、安倍総理により白紙撤回され、安価な建設費用での見直しがされました。それから二週間が過ぎて、「工費の上限は1550億円、冷房無し」と決定されました。すると「首相の一声で冷房見送り」ということになり、それが安倍総理の失態であるかのような報道がなされました。


オリンピック・エンブレム

また、エンブレムの撤回は遅きに失した感はありますが、国民の期待に応えた結果となりました。しかし、テレビCM差し替え、ポスター撤去などに莫大な費用【※1】がかかるとマスコミから批判の声が上がりました。また、野党はさっそく政府攻撃の材料にしています。

【※1】五輪スポンサーの日本企業21社のうち、9月1日朝の時点で15社がCMやHPなどにエンブレムを使用。東京都は7月24日にエンブレムを発表したイベントの費用に7000万円を支出。さらにのぼり旗やポスターなど約4600万円分を発注。


年金機構の情報流出
日本年金機構から約125万件の個人情報が流出した「漏れた年金」問題でも、対策費の問題だけがクローズアップされ、年間50億円がかかると発表されました。これに対しては一部のマスコミも「こうした費用は誰が負担するのか。後始末の費用は国民の負担ではないか」と政府批判になっています。


仕返しの論理

国立競技場の問題で国民の反対を受けた役人は「安い建設費を望むなら冷房を設置しなければいい。批判したり、反対する人たちに思い知らせてやればいい」と考えています。修正を余儀なくさせられたことの不満を、国民に不便を強いる形で転嫁しているのです。これは役人たちによる仕返しです。役人の一般国民を見下した意識がそのまま表れています。

同時に、役人は責任を関係省庁のトップにかぶせます。本当は問題の分析、反省、対策を講じなければならないのですが、謝罪は担当大臣にさせ、話を費用の問題ばかりに振り向けるのです。最終的には「責任は政府にあるのだ」として、国民の怒りの矛先を変え、保身に走ろうとするのです。


政府批判に利用するマスコミと野党

役人の責任転嫁に同調するのがマスコミと野党です。

国立競技場の白紙撤回は安倍総理の英断によるものですが、民主党は「人気取りだ」と批判し、民主党政権下で決定した経緯を無視し、安倍政権の失態だと批判しました。これは正当な批判ではなく嫉妬としか思えない言動です。

本来、国の中で起きるさまざまな問題に対しては、立場を超えて、智恵を出し合うべきだと思いますが、彼らは最初から問題を政権批判に利用したいだけなのです。

批判をするには役人の「仕返しの論理」が極めて都合がいいのです。


透明性と危機管理能力

役人はもっと賢明になるべきです。今回のエンブレム騒動では役人が説明を繰り返すたびに国民の反感を買いました。

国民は、決定に至る過程の透明性の無さと、不測の事態が起きたときの危機管理能力の無さを怒っているのです。

また、マスコミは役人の「責任回避と仕返しの論理」を鵜呑みにせず、内容をよく吟味して報道しなければなりません。役人の論理に利用される存在であってはならないのです。



  お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com 
  FBは https://www.facebook.com/akaminekaz です
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コラム(42) 自民党総裁選... | トップ | current topics(96) 村山... »
最新の画像もっと見る

政治見解」カテゴリの最新記事