赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

アジア情勢分析(3)  朝鮮半島情勢分析

2015-06-16 00:00:00 | 政治見解


赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』(30)

アジア情勢分析(3) 朝鮮半島情勢分析


朝鮮半島は10年前とは真逆の状態

かつて北朝鮮は中国の属国と言ってもいい状態でした。しかし、いまは中国と敵対関係に入っていると考えられます【※1】。一方、韓国は朝鮮戦争時に中国人民解放軍によって国家壊滅寸前まで追い込まれた経緯があり「反共の防波堤」と位置付けられていました。それにも関わらず、今では中国の属国化の動きさえ見受けられます。【※2】

【※1】2013年12月北朝鮮NO.2張成沢(チャン・ソンテク)氏が粛清された事件は、「中国との決別」を意味している。

【※2】2016年6月に在韓米陸軍が撤退する。在韓米軍は朝鮮戦争の際に国連軍主力部隊として派遣され、戦後も引き続き韓国に駐在していた。また、アメリカからは韓国に再三THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)の配備を要請していたが、韓国は中国に気遣い態度を未だに明らかにしていない。さらに、経済面でも中国の影響下に入ったと見なされている。


このような南北の逆転現象は、今から1500年前に類似の事例があります。朝鮮半島の北に位置した高句麗が朝貢していた隋と敵対関係となり、南に位置していた新羅が唐に篭絡されて属国となりました。その時代と極めてよく似ているのです。歴史とは繰り返すものなのかもしれません。


韓国はなぜ中国の属国化の道を歩むのか

昨年(2014)の旅客船・セウォル号の沈没以降、韓国はすべての歯車が噛み合っていない状態が続いています。現在も、MERSコロナウイルスの感染拡大を防ぎ切れず国内に不安が広がっています。パククネ政権の支持率は下がるばかりです。このような時、政治家は襟を正すべきはずなのですが、現実は責任を他に転嫁するだけになっています【※2】。

【※2】6月6日、朝鮮戦争の戦死者らを追悼する「顕忠日」の式典でパククネ大統領は、北朝鮮を名指しで批判し、また、日本に対して「従軍慰安婦などの歴史問題や領土紛争のため、近隣国との関係が前に進めずにいる」と批判した。

パククネ大統領は、北朝鮮に対しては国内の「親北」勢力に慮って発言は控えめで、その分日本批判を徹底して訴え、国内世論の統一化をはかりました。さらに同様の目的を持つ中国に追随し、依拠して生きる道を選択しようとしています【※3】。

【※3】中国の習近平主席は就任後、それまでの慣例を破って北朝鮮より先に韓国を訪れた。また、2014年11月には、中韓両国は自由貿易協定(FTA)を妥結した。これにより、GDP(国内総生産)名目で8兆8千億ドルの中国と1兆1千億ドルの韓国による巨大な共通市場が東アジアに誕生したといわれた。しかし、実態は「韓国経済が中国に飲み込まれたと」いう評価となっている。

この背景は、韓国内の「反日政策」の行き詰まりに起因するものです。それまでは日本批判を言われれば資金提供をしてきた日本が、安倍政権の登場で毅然たる態度を取ったため 韓国の思惑通りにことが運ばなくなったのも要因のひとつです【※4】。

【※4】これまで韓国経済は幾度となく破綻したがその都度日本が支援に回った。2008年のリーマン・ショックの際、李明博大統領は日本に頭を下げ「二度と過去を持ち出さない、日本を侮辱する行為を行わない」として、支援を受けられるようになった。しかし、その後、天皇陛下に土下座を求めたり、竹島で軍事訓練を行ったりと日本を侮辱する行為を繰り返したことはご承知のとおり。

韓国は、日本批判の積み重ねによって、結果的に中国に身を委ねることになったのです。まさに李氏朝鮮の時代の再来です。一方、中国にとっては、北朝鮮離反もあり、韓国との接近は大変に都合が良かったのだと思います。


中国との北朝鮮の暗闘

ところで、北朝鮮は旧ソ連と中国の合作で作られた国家であるといっても過言ではないと思います。中国は北朝鮮を特段に庇護し、毎年、食料(とうもろこし)、石油、石炭をそれぞれ50万トン無償援助していたといいます。しかし、北朝鮮が地下核実験を行った頃から、その関係が急速に悪化しました【※5】。

【※5】北朝鮮の核問題は中国にとっても気が気でない問題になっている。北朝鮮の中距離弾道ミサイル・ノドンは射程距離が1300kmにも及ぶ。平壌から北京までの距離が800kmで中国にとっても他人事ではなくなった。



しかも、中国の軍部は七つの軍区に分かれていますが、昔の満州、北朝鮮に隣接する地域に中国最強の瀋陽軍区の部隊があります。ここは、中国政府が思い通りに動かせない軍隊です。情報筋によりますと、この瀋陽軍区は「北朝鮮に隷属した」とも言われています。

現在、中国政府は北朝鮮に対し流通制限を行っている模様で、アメリカの監視衛星の解析によりますと、北朝鮮への物資の搬入が極端に落ち込んでいるといわれています。北朝鮮も中国にはますますの不快感を抱いているので親中派が次々と粛清されているようです。実際、金正恩第一書記は中国に対しては、「言いなりにはならない」という姿勢を明確に示すようになりました。


朝鮮半島の統一問題

韓国は中国からの確かな裏付けの無い情報で、北朝鮮が近いうちに崩壊し、大量の難民が流入すると見ているようです。そこで、北朝鮮からの賃金の安い難民の労働者を使えば韓国の国際競争力が高まるといった安易な考え方をしているようですが、現実は厳しいものがあります。

第一、韓国内に北朝鮮の難民に対処するだけの備蓄は無く、日用雑貨さえも満足に用意されていないのです。韓国にはそのお金もありません。北朝鮮を統一する費用を当て込んで中国への属国化の道を選択したのかもしれませんが、その中国自体、国内の政治経済が危機的状況では当てにすることはできません。


一方、北朝鮮も韓国に軍事侵攻して併合する意思は未だ失っていないようです。当ブログが最も信頼する情報筋からも、かつて「青瓦台(韓国大統領官邸)のすぐ側まで延びている地下トンネルがある」というお話を頂いたことがあります【※6】。ただし、現時点では北朝鮮にとって「韓国を併合するメリットはない」との判断をしているようです。

【※6】韓国侵攻には、地下トンネルから主力部隊が二日で制圧する。韓国政府へのピンポイント攻撃はトンネルを通る特殊部隊が担当する。トンネルがソウル市内につながっていて商業ビルの中に出口がある。韓国政府はトンネルのことは知っていても探し出すことが出来ない。このトンネルからは約二万人の部隊が侵攻する予定。国境からは15万人、ヘリや飛行機で2000人、それぞれが陽動作戦的に動く。韓国軍は戦闘の照準も決められないまま制圧されてしまう。金正恩氏は二日で制圧すると言っている。


なお、朝鮮半島の有事の際は、1950年の朝鮮戦争時とは異なりどこの国も手を出しません、あくまでも「内戦」とみなすようです。したがって、有事の際は米軍が本気で助けることはありません。日本に駐留する在日米軍が駆けつけるには日本政府の承認が必要になり、在日米海軍・米空軍が半島有事に介入するには アメリカ議会の承認が必要です。


日韓関係と日朝関係の行方

韓国はすでに中国に歩み寄っていますが、自由主義の一員として生きようとするのか、中国の属国として生きるのかを真剣に考える時期に差しかかっています。どちらの選択も容易ではありません。自由主義の道を歩むなら日米両国に命がけで向き合わなければなりませんし、属国の道を歩むなら中国への完全服従の道を甘受せねばなりません。

パククネ政権にとってはいずれも薄氷を踏む選択ですが、目先の利益やプライドではなく、国民の幸福にとってどちらが大事な事であるのかを真剣に考え判断していただきたいと思います。


一方、日朝関係ですが、両国の最大の懸案事項である「拉致問題」については、日本が要求している「拉致被害者全員の帰国」が、北朝鮮にとっては最大のネックになっています。北朝鮮にとっては、それらの人びとが国家の要人となって「帰国を希望していない」ためにその対応に苦慮しているとの情報があります。これを解決するにはお互いの政府がその真相を理解し合うことが大切です。その上で、全員帰国にこだわらず、帰国したい人は帰国させ、残りたい人は残るという選択を、ご本人に決断していただくしかないと思います。

次に朝鮮総連の施設の問題ですが、これは日本政府と北朝鮮間で暗黙の合意が出来ているようです。北朝鮮にとっては国交が正常化した場合に大使館として使うつもりで、日本政府も追認したようです。それにも関わらず、朝鮮総連の幹部が逮捕された問題は、朝鮮総連の幹部が北朝鮮とは無関係だということに理由があるようです。韓国系の民団幹部と朝鮮総連幹部には密接なつながりがあるといわれていまので、北朝鮮政府も朝鮮総連を信用していないわけです。

さて、金正恩氏は、日本に対する憧れが強く、北朝鮮を日本のような国家にしたいと考えているようです。国内には有力な鉱物資源があるにもかかわらず、製品化できない事情があるので、鉱物資源の調査技術、発掘技術、プラント技術などで日本の技術力と資金の支援を受けたいと考えているようです。北朝鮮が本気で考えているのであれば、日本の技術支援を通し、拉致問題の早期解決と核問題の解決のために北朝鮮を善導することが可能となり、アジア全体の安全保障実現にも寄与できるはずです。日朝国交正常化のメリットは意外に大きいものと思われます。



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