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『染付 うつわに広がる青の世界』 ※9月22日(火)まで
たぶん、新型コロナの影響による開催の変更があったのだろう、チラシがなかった。
いうものの、6月14日(日)から約3か月におよぶ長いスパンの展覧会。
事前に展示解説を聴いて予習もしたし、今回はWi-Fiの電源も入っていたし。
これ!といった目立つ展示はなかったものの、手堅いラインナップ。
まずは中国の染付Ⅰ 官窯と民窯
出ているのはすべて景徳鎮窯。ほとんど明代で一部に清代あり。
以前、畠山記念館で官窯と民窯の作品をじっくりと見比べて以来、
なんとなく違いが理解できるようになった。
かっちり正しく?精巧にきっちり仕上がっているのが官窯。(国家が指導して焼いたもの)。
それに比べて、民窯は検品の基準がないせいか、仕上がりが緩い印象がある。
唐草文の鉢は官窯、雲堂手の茶碗や一閑人香炉は民窯。
次は中国の染付Ⅱ 古染付
これは総じて民窯かなぁ。景徳鎮窯で日本からの注文に応じて生産されたもの、って感じ。
中でも古染付の張甲牛香合が興味深い。交趾の甲牛香合はよく見かけるけど、染付の甲牛は珍しい?
解説によると、向きが違う張甲牛香合があるのだそうな。
それにしても、ここの古染付隅田川香合の平べったいことと言ったら! アバウトなところは規格がない民窯ならでは。
そ の次は中国の染付Ⅲ 祥瑞
これも明代末期の景徳鎮の民窯で焼かれた、日本からの注文品。
織部焼のフォルムを模倣した沓形茶碗(向付から転用か?)や瓢形の徳利。
印象として大阪の豪商が好みそうな感じ。
次は景徳鎮以外の中国の染付Ⅳ 呉州
呉州といえば、呉州赤絵!って言っちゃうくらいだけど、呉州の染付もあったのかと意外な感じ。
漳州窯(しょうしゅうよう)かぁ。青の色が景徳鎮のコバルトとは違う印象。くすみがある色合い。
そして、日本の染付 伊万里・鍋島・京焼
肥前窯、鍋島藩窯、青木木米ときて、近藤木泉!? って、誰? 明治~大正時代の作品。
うーん。何分、渋谷の戸栗美術館ですごいの観ちゃってるので、この辺りは物足りなさが残った。
最後はヨーロッパの染付、阿蘭陀焼
17世紀から18世紀のもの。
技術的には景徳鎮や伊万里は及ばない。たぶん、アジアの窯ほど高温が出せなかったせいだろう。
だけど、その未熟っぽいところにヨーロッパならではの文様に魅力を見出した日本の茶人もいたのだろう。
なかでも、色絵阿蘭陀四方向付。柄はいかにもヨーロッパ!というかわいい黄色のお花。
見立てではない。形はしっかり向付だから。日本から注文して、それでオランダの窯が造ったのだろう。
日本からの注文書が海を渡ってオランダに届き、焼いたモノがまた海を渡って長崎に至る。
いったい、何年がかりのやりとりだったのだろう。気が長くなる。
茶室ケース。
たぶん、以前も観たと思うけど、大西浄清の朝鮮切合風炉釜がすばらしい。
次回の展示は春に途中で中止した「海を渡ってきた工芸」
訪れるかどうかは微妙~
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