『星野道夫 悠久の時を旅する』 東京都写真美術館 サイト
※1月22日(日)まで 年始は1/2から
久しぶりに星野道夫さんの写真展を訪れた。
80年代から90年代前半の、感受性や好奇心が旺盛で世界へ向ける目が開かれる年頃を
彼が撮ったアザラシの赤ちゃんやシロクマの親子たちの写真を眺めて過ごした。
こんな世界があるんだ。極寒の自然って、なんて豊かで雄大なんだろう。
だから、上京して間もない夏の終わりに新聞記事で突然の、不慮の事故で命を落としたことを知った時はショックだったなぁ。
なんで、クマに襲われなきゃならないの? クマのバカっ!
それからしばらくして開催された写真展で買った図録は今も時々眺めている。
だから、懐かしい思いで足を運んだ。
最初に入り口で10分に及ぶスライド映像を視聴。
大画面で改めて美しい風景で、アラスカで暮らす人々の息遣いが聞こえるような写真だと思った。
同時に以前は気にもとめてこなかった彼の軌跡、どういうキッカケでアラスカに辿り着いたにも注目。
大学生の頃にアラスカで滞在させてほしいと書いた手紙と「いらっしゃい。仕事もあります」という返事の往復書簡も展示されていて、感動。
キツネに盗まれて追いかけて、どうにか取り返したという一眼レフカメラと経緯を綴った原稿もあった。
本当に、なんでキツネさんはあんな重いものを持って行っちゃったのかなぁ。
食べ物じゃないのに。
写真は見たことがあるものも、ないものも。
いずれにしても感動があり、ゆっくりゆっくり、その世界へ浸った。
最後にパラノマカメラ(←こういうカメラ、初めて見た!)とそこに入ってたフィルムを現像した8枚ほどの写真。
今年発見されたカメラ。そこに入っていたフィルムだから当然のことながら未発表。
フィルムが劣化しているからねぇ。素人目にはちょっと何が写っているのかわからない。
最初に映像を視た時に思った。
「フィルムをデジタルで読み込んでいるから、こんなに透明性が高い美しさがあるのなかなぁ。
最初からデジタルカメラで撮影しのたらどんな感じになるのかなぁ」
星野道夫がデジタルカメラでアラスカを撮影したら、どんな風景が撮れただろうか。
そして彼が亡くなってから四半世紀ちょっとの間に地球温暖化はすすみ、たぶんアラスカの環境も大きく変わったはずだ。
その変わりゆくアラスカの風景や動物たちの姿を、星野道夫はどう撮っただろうか。
彼にしか撮れない地球温暖化がすすむアラスカの写真があったはずだ。
観たかった。
改めて惜しい人を世界は失くしたなぁと残念に思う。
ほんとに、カムチャッカのクマのバカっ!
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