Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

茶席を彩る うるしの美

2021年03月23日 06時15分00秒 | 美術館・博物館etc.

★野村美術館 サイト
 春季特別展『茶席を彩る うるしの美』 ※6月6日(日)まで 前期は4月18日(日)まで、4月20日(日)から

野村美術館はいつ訪れても“バズレ”がないので、今回も何をかけているかは把握せずに訪れたら、私の大好きな漆器だったので、超うれしかった。

まずは堆黄の竜文丸盆。「堆黄」って、遺品が少なく、私も観た記憶は1度か2度くらい。茶色い感じがちと不思議。
堆朱の分銅形盆に堆黒の香合と定番の中国作品。

堆朱とか堆黒って、漆を何層にも(何十層のレベルか?)にも塗り重ねた上で彫刻したものだけど、
中にはズルして(?)後世になって、分析されてバレたものも?
朱漆瓢箪形香合は説明書zに「実は鎌倉彫のように、彫ってから漆を塗ったもの」とあって、「ほほー」と思った。

存星はやはり難しい。存星猿桃香合なんて、桃らしきものはわかったけど、猿はわからんかった。

天川四方盆。マカオのものらしい。

屈輪軸盆に屈輪香炉盆。屈輪文様がきれい。

蒟醤(きんま)の底四方炭斗は美しい。タイ製なのだから、見立てなんだろうけど、完璧な炭斗の形。
この形を炭斗が倣ったのかなぁ~って、思うほど。
もしかしたら、この形で製作するように日本から発注したとか?(まさか~)

奥の中央は南宋や元時代の絵画と硯箱や食籠といった漆芸品。

後半は明代の青貝天下泰平文字香合に原羊遊斎作の青貝心経香合。(螺鈿はステキ) 出光美術館に下絵があるらしい。
灰被天目と青貝天目台。(南宋時代のもので、福建省で製作されたらしい)

鎌倉彫の武者香合に桃山時代の藤蒔絵四方香合、江戸時代(18C)の柳桜蒔絵棗、金目粉がまぶしい松蒔絵平棗、住吉蒔絵平棗。
桐蒔絵雪吹、小島漆壺斎作の七宝蒔絵鮟鱇形茶器、佐野長寛(1791-1863)作の海老蒔絵棗。(伊勢海老がバーンと描かれて迫力)

中央ケースは大物(硯箱や食籠)。豪華な細工でため息。

茶席スペース。前期は高橋箒庵招待茶会(大正12年5月19日 於・碧雲荘)から
一休宗純の掛物に閑翁宗拙(たぶん、宗旦の長男)作の竹一重切花入 銘「単調」
万字切合の風炉釜、高取糸目一重口の水指。
瀬戸の金華山瀧浪手の茶入(茶器) 土井三島の茶碗、茶杓は石州 建水は桜皮?の木地曲。蓋置は蔦蒔絵竹。
菓子器は堆朱南天鶏文輪花盆。

野村得庵さんは茶会記をしっかり遺しているから、こういう再現展示も可能なのねぇ、と改めて感心した。

地階は「漆ができるまで」。
人形で工程が再現されていて、見応えがあった。

 1.漆を掻く
 2.瀬じめ漆を掻く ※瀬じめ漆とは漆の細かい枝を数日間、水に漬けた後で掻いて採った漆のこと
 3.木を伐る
 4.木取りをする
 5.木地の下拵え
 6.木地を作る
 7.轆轤(ろくろ)を挽く。
 8.漆を精製する
 9.下塗りをする
10.上塗りをする
11.蒔絵を描く

他にも漆の塗りの工程が20段階ぐらいにわけて展示されていた。(先日、同じ目的の展示を根津美術館でも見た)

京都では丹波漆を使っていたそうで、福知山には漆の資料館もあるらしいが、今は非公開とのことらしい。

漆は海外ではJapanと呼ばれるし、やはり奥が深いなぁ。

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