区政の中でも都市計画分野は、大変分かりづらいと思っています。
東京都や杉並区による道路や公園、まちづくりなどの計画決定までの段階はいくつもあり、何時どうやって、どの様な議論があり決まっていくのか、また行ったのかを知るのは本当に難しいです。計画を知った時には、既に決定後で変更は出来ないと言う事が多くあると考えています。納税者にとっては大変なジレンマです。
私の地元久我山でも、大型幹線道路沿いに相応しいまちづくりを進めるための地区計画策定が行われました。生活の環境を大きく変える道路計画や地区計画を知る為に、市民活動をしていた頃は都や区の会議の議事録などを時系列で読み勉強会もしました。
また、区議となってからは内容に関し機を捉えて提言を続けてきました。今では建て替えが進み、地区計画に則った、大変良いまちなみに生まれ変わりつつあります。(もちろん、もっとこうして欲しかったという部分はありますが。)
参考⇒玉川上水・放射5号線周辺地区地区計画 https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/948/hougo_pnf201903.pdf
JR阿佐ヶ谷駅の北東地区では、小学校と病院の移転を含む地区計画の議論が進み、平成29年から行われてきた計画策定の最終段階となって来ました。これまでも様々な議論が議会でも行われて来たことから、ご関心をお持ちの区民の方も多くいらっしゃる事と思います。
地区計画とは、地区の課題や特徴を踏まえ、住民と区市町村とが連携しながら、地区の目指すべき将来像を設定し、その実現に向けて都市計画に位置づけて「まちづくり」を進めていく手法で、具体的にはその土地にどれ位の大きさや高さ、用途の建築物を建てることが出来るかなどを決定して行きます。
参考⇒地区計画(東京都都市整備局)http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/chiku/chiku_1.htm
私は、住民を交えて、まちの課題解決を図る事が出来る地区計画の取組を推進しています。道路は道路だけ、公園は公園だけ、防災は防災だけを考えていても解決は難しく、また、住民の意見を集約して成案まで結びつけるためには、決まった制度に則って進めて行く事が必須と考えているからです。
区議へ転身をする以前は、住宅の設計に20年間携わって来ました。私がプランをしたモデルハウスがまだ幾つかあるようです。出来上がりを想定しながら平面での計画をし、最終的には立体を作り出します。その大変さを実感してきました。設計を進めるに当たって、クリアしなければならない条件は無数にあり、あらゆる項目をできる限り実現を目指しながら全体最適を探り、最終決定をして行きます。杉並区で行われている地区計画を含むまちづくりも同様だと考えています。ただ、まちづくりは影響を受ける人が多い分、住宅設計よりも遥かに大変です。
東京都の地区計画決定状況を確認すると、お隣の世田谷区は70か所、中野区は10か所、練馬区は38か所に比べて、杉並区は8か所でとても少なく、私はもっと住民の発意に基づく地区計画制度を活用して、住みやすいまちづくりを目指すべきと提言しています。
参考:杉並区の地区計画決定状況 https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/sumai/ie/1004948.html
世田谷区の地区計画決定状況 https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/003/004/d00150524.html
東京都の地区計画決定状況 http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/chiku/chiku_5.htm
特に世田谷区の「区役所周辺地区地区計画」では、計画区域内で十分な安全性を備えた広域避難所と災害に強い市街地を目指し、また、日常の暮らしやすさや利便性の確保や非常時に助け合えるコミュニティづくりを目指してかなり広範囲に取り組みを進めており、大変参考になります。
参考:世田谷区役所周辺地区地区計画 https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/003/002/001/d00123698.html
これまで阿佐ヶ谷駅北東地区では、下記の課題などがあると考えてきました。
・老朽化による小学校の改築、これを機により良い環境づくり。
・河北病院は災害時に緊急医療救護所が開設される為、受け入れ態勢の充実。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/shisetsu/bousai/kyugo/index.html
・平常時にも多くの救急患者が運ばれてくるため、病院への救急車両の円滑な運行。
・商店街など周辺の道路幅を広げ、歩行者や買い物客が安心して通行できる環境づくり。
・杉一馬橋公園通りの拡幅により木造密集地帯への避難路の早期確保。
・街路樹増設など、緑被率向上が望まれる。
・駅前周辺全体を踏まえた土地利用や街並みの検討。
この計画の最終審議が行われる第190回都市計画審議会が下記の通り行われます。私も委員として審議に加わる予定です。この審議が終わるとその結果は区長へと答申され、最終決定となります。
◆開催日:令和1年12月23日(月曜日)
◆開催時間:10:00~12:00(予定)
◆開催場所:杉並区役所 第3・4委員会室(中棟5階)杉並区阿佐谷1-15-1 杉並区役所
◆内容:
- 東京都市計画地区計画阿佐ケ谷駅北東地区地区計画の案(杉並区決定)(予定)
- 東京都市計画高度地区の変更案(杉並区決定)(予定)
- 東京都市計画防火地域及び準防火地域の変更案(杉並区決定)(予定)
- 東京都市計画用途地域の変更案〔東京都決定〕(予定)
◆これまでの経緯:https://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/toshiseibi/machi/1037301.html
都計審とは都市計画を定めるときに、都市計画法に基づき都市計画案を調査審議する機関です。都市計画は都市の将来の姿を決定するものであり、住民の生活に大きな影響を及ぼします。このため、都市計画を定めるときは、行政機関だけで判断するのではなく、学識経験者や議会の議員、関係する機関などから構成される審議会の調査審議を経て決定することとなっています。
本計画には様々なご心配のお声を聞きます。いわゆるけやき屋敷の既存木を守るために、区では敷地内に保存緑地と歴史的景観緑地を定めた上で最低の緑被率を25%(制度上の上限)と定め、できる限りの保存に努めています。希少生物の保護にもしっかりと対応を求めて行きます。
また、区が作成する資料は行政資料の域を出ず、一般には理解するのが大変だと思います。文字と図面だけでは全て読み込んだとしても、一向に計画の全体像がつかめないのが現状では無いでしょうか。
民間は利益追求の為にマンション販売などではイメージ優先の資料を作るため、行政が作成する資料と差があり過ぎます。
住民のご理解を得るためには、資料作成などの工夫がもっと出来るだろうと考え、区に求めています。
個人的には病院建築の工夫をして、まちを行き交う人や病院に行かれる方々の憩いの場となる様、25%に留まらず、もっと多くの緑を残し、また増やして貰いたいと考えています。
本地区計画では、多くの沿道緑化が盛り込まれている為、現在よりも目に入る緑は確実に増えると考えています。
また、新しく植える街路樹にはまちとしての統一感を持たせ、歩道の舗装や段差にも気を配ってほしいと考えています。
緑を残して欲しいというお考えをお持ちの方の中には、区で土地を購入して公園として開放をして欲しいという方がいらっしゃいますが、私有地ですので所有者のお考えが最優先であろうと思います。
ご質問などがございましたら、出来るだけお答えして行きたいと考えておりますので、是非お寄せください。よろしくお願い申し上げます。
山本あけみメールアドレス:yamamoto.akemi1965@gmail.com
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