「藁(わら) 十六把」 「昔話に学ぶ生きる知恵」 2 藤田 浩子
むがぁし まずあったと。
あるところに お大尽様の家あって
お大臣様の家の娘も年頃になったので婿(むこ)探していたと。
したが この家の婿になるには 知恵のある男でなければならねぇというわけでな
門口(かどぐち)に一把(いちわ) 藁(わら)ぁ掛けておいたんだと。
ほぉで この藁(わら)を十六把(じゅうろっぱ)にできる者がいたら
その男を婿にとるから と そういう看板かけておいたんだと。
したが その村の男たち
「なんぼ考えたって手品使いでもなければ 一把を十六把にすることはできねえ
そんな無理なことはできねえ」
と あきらめていたんだけんども 一人の男が
「ほんじは おら十六把にしてみっから」
と そうゆって その家さ入(へぇ)っていったそうな。
ほおで 旦那様が
「十六把にしたか」
と 聞かれたもんで
「へえ ちょこっと 入(へぇ)れば にわ(庭) ござる
にわの隅には くわ(鍬) ござる
婆様(ばさま)のひたいにゃ しわ(皺) ござる
門に いちわ(一把) で じゅうろっぱ(十六把)」
と こうゆったんだと。
庭(にわ)のところに入っていくと その隅っこのほうに 畑で使う鍬(くわ)が置いてある。
縁側で針仕事をしている婆様(ばさま)の額には皺(しわ)がある。
それを歌って 全部で十六把にしたんだと。
ちょこっと 入(へぇ)れば にわ(庭・二把) ござる
にわの隅には くわ(鍬・九把) ござる
婆様(ばさま)のひたいにゃ しわ(皺・四把) ござる
門に いちわ(一把) で じゅうろっぱ(十六把)
足し算の話でした。
おしまい
むがぁし まずあったと。
あるところに お大尽様の家あって
お大臣様の家の娘も年頃になったので婿(むこ)探していたと。
したが この家の婿になるには 知恵のある男でなければならねぇというわけでな
門口(かどぐち)に一把(いちわ) 藁(わら)ぁ掛けておいたんだと。
ほぉで この藁(わら)を十六把(じゅうろっぱ)にできる者がいたら
その男を婿にとるから と そういう看板かけておいたんだと。
したが その村の男たち
「なんぼ考えたって手品使いでもなければ 一把を十六把にすることはできねえ
そんな無理なことはできねえ」
と あきらめていたんだけんども 一人の男が
「ほんじは おら十六把にしてみっから」
と そうゆって その家さ入(へぇ)っていったそうな。
ほおで 旦那様が
「十六把にしたか」
と 聞かれたもんで
「へえ ちょこっと 入(へぇ)れば にわ(庭) ござる
にわの隅には くわ(鍬) ござる
婆様(ばさま)のひたいにゃ しわ(皺) ござる
門に いちわ(一把) で じゅうろっぱ(十六把)」
と こうゆったんだと。
庭(にわ)のところに入っていくと その隅っこのほうに 畑で使う鍬(くわ)が置いてある。
縁側で針仕事をしている婆様(ばさま)の額には皺(しわ)がある。
それを歌って 全部で十六把にしたんだと。
ちょこっと 入(へぇ)れば にわ(庭・二把) ござる
にわの隅には くわ(鍬・九把) ござる
婆様(ばさま)のひたいにゃ しわ(皺・四把) ござる
門に いちわ(一把) で じゅうろっぱ(十六把)
足し算の話でした。
おしまい