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民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「俵編み」 宮本 常一

2013年09月25日 00時08分10秒 | 民話の背景(民俗)
 「俵編(たわらあみ)」 歳時習俗事典  宮本 常一  八坂書房 2011年発行

 稲刈りがすむと籾(もみ)すりの始まるまでの間によなべに新藁(わら)を使って、
俵(たわら)の菰(まこも)編みをする風習が各地でみられた。

 まず細い編み縄をない、次に藁のはかま(下の方の稲藁)をとってきれいにし、
これを菰(まこも)編み台を使って編んでいく。
じょうずな者なら一時間に一枚は編むから二、三人で少し仕事にはげめば一晩に、
10~20枚の菰(まこも)は編まれる。
 これをまず筒状にし、一方の端をじょうぶな縄でとじて袋状にし、その俵の中にもう一つ俵を入れる。
つまり二重俵にする。そうしないと中身がこぼれやすい。
また両端にあてる桟俵(さんだわら)を作る。俵の大きさはもときまりがなかった。
土地によっては五斗俵があり、四斗俵があり、三斗五升俵もあった。

 これは年貢の取立てと深い関係があった。
たとえば高一石について三斗五升俵の定免のところでは三斗五升俵が普通であったし、
福岡県の黒田藩のように叺(かます)を用いさせたところでは、
筵(むしろ)を袋状にとじて作ったものに、米を入れさせて俵を使わなかった。
俵はまた米を入れるだけでなくムギ・イモをはじめ、炭・塩その他の農産物を運搬する場合にも用い、
用途はすこぶる多かった。
 だから籾すり前ばかりでなく、必要に応じて編んだものである。