民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「ナリキイジメ」 宮本 常一

2013年09月29日 00時06分47秒 | 民話の背景(民俗)
 「ナリキイジメ」 歳時習俗事典  宮本 常一  八坂書房 2011年発行

 また、くだものがよくなるようにといって、ナリキリイジメをする地方もあります。
私のふるさとでは、夫婦がそろってカキの木の下へ行って、夫の方が
 「なるかならぬか、ならぬときるぞ」
と言って、その切り口に持っていったおかゆをなすりつけた、ということをききましたが、
のちに、このようなことは日本じゅうにあったばかりでなく、イギリスの方にもあったことを知って、
これらをくらべて見ることによって、なぜそんなことをしたかもだんだん分かってきました。

 なってもらわなければならないのは、木だけではなく、人もいい子を生むようにとて、
子供たちが棒を持って、若いお嫁さんの尻をたたいてまわる行事が、
これも日本じゅうにあったといってもよいほどで、宮城県では「ガッテイ」、山梨県では「オカタブチ」、
九州の天草では「ハルマンジョウ」と言っています。
いま、子供たちが「お尻まくりはやった」などといって、尻まくりのあそびをしているのを
見かけますけれど、”はらみうち”の名残ではないでしょうか。