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「江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか」 その6 

2017年10月18日 00時32分54秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか」 その6 中江 克己 青春出版社 2016年

 「覗きからくり」と「矢場」 その2

 男に人気があったのは矢場(楊弓場)である。料金をとって弓を射させる遊技場だが、浅草奥山のほか、神田明神や芝明神、両国などの盛り場にもあった。
 矢場は普通、間口が1間半(約2.7メートル)か、2間(約3.6メートル)ほどで、入り口の油障子には三重丸の標的が描かれていた。
 客は座敷に座り、細長い台の前で前方、板の間の的を射る。弓は長さ2尺8寸(約85センチ)、矢は9寸(約27センチ)、射手と的との距離は7間半(約13.6メートル)というのが標準とされた。
 料金は嘉永年間(1848~53)ごろ、矢を30筋射て6文(約150円)だから手軽な遊びだった。
 矢場には「矢取り女」といって、客の射た矢を拾ったり、矢が当たったときに「あたりい!」と叫んだりする女性従業員がいた。このような川柳もある。

「矢ぶすまの中へ娘は尻を出し」

 わざと尻をくねらせ、挑発する女もいた。一見、健全な遊び場に見えたが、じつは裏で売春を行っているところもあって、矢取り女は色気で客を誘った。