「本屋さんで待ちあわせ」 その7 三浦 しをん 大和書房 2012年
時に抗(あらが)った作家の生 その1 P-48
――『星新一 1001話をつくった人』最相葉月(さいしょうはづき)・著(新潮社/新潮文庫、上下巻)
なにをもって己れが生きた証(あかし)とするか。
銅像を建てる。子孫を残す。世界遺産や国宝に指定されるような建築物・芸術品を作る。手段はいろいろある。
しかし、500年も経てばと想像すると、すべてはむなしい。時の流れのなかで、「個」は埋没していく。それは抗いようのないことだ。
抗ったひとがいる。作家、星新一だ。膨大なショートショートを書き、国語の教科書に作品が採用され、広く人々に愛読されながら、彼はまだ満足しなかった。長く読み継がれることを願って、晩年の星新一は自作を手直ししつづけた。時代の変化から取り残されそうな単語や表現を、執拗なまでに作中から排除した。
時に抗(あらが)った作家の生 その1 P-48
――『星新一 1001話をつくった人』最相葉月(さいしょうはづき)・著(新潮社/新潮文庫、上下巻)
なにをもって己れが生きた証(あかし)とするか。
銅像を建てる。子孫を残す。世界遺産や国宝に指定されるような建築物・芸術品を作る。手段はいろいろある。
しかし、500年も経てばと想像すると、すべてはむなしい。時の流れのなかで、「個」は埋没していく。それは抗いようのないことだ。
抗ったひとがいる。作家、星新一だ。膨大なショートショートを書き、国語の教科書に作品が採用され、広く人々に愛読されながら、彼はまだ満足しなかった。長く読み継がれることを願って、晩年の星新一は自作を手直ししつづけた。時代の変化から取り残されそうな単語や表現を、執拗なまでに作中から排除した。