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「本屋さんで待ちあわせ」 その11 三浦 しをん

2017年12月12日 01時05分59秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「本屋さんで待ちあわせ」 その11 三浦 しをん  大和書房 2012年

 言語を超えた芸の天才 その1
 『人生、成り行き 談志一代記』立川談志・著/吉川潮(よしかわうしお)(新潮社) P-104

 言語を駆使して、言語による認識のくびきから跳躍してみせる。この逆説を成し遂げられるひとは、ほとんど皆無だろう。落語家・立川談志は、それを実現している稀有な存在だ。
 落語に対する自負と気迫、すぐれた分析能力と表現力、孤独と親和、そして常人にはどうも理解しがたい素っ頓狂な爆笑エピソードの数々(なぜか国会議員になる、師匠にヘッドロックをかます、など)。生い立ちから現在に至るまでを多面的にインタビューした本書は、きわめておもしろく深みのある芸談になっているし、「立川談志」という人物そのものを魅力的に浮き彫りにする。

 胸に決めたひとつのことを、ひたすら追求しつづけるのは、楽しいけれどさびしいことだ。あまりにも高度と深度があるので、そのひとがどこを目指しているのか、周囲の人間には計りきれない。しかし、そのひとが「なにかすごいことを実現している」ということだけは、しっかりと感受できる。