「”へ”って、こわい」 参考 「屁一つで村中全滅」フジパン、福娘童話集
今日は ”へ”のハナシ やっか。
”へ”って、なんか わかっか?(尻から 出る ヤツな)
おれが ばあちゃんから 聞いた ハナシだ。
へっぴり嫁、せんべいこわい、草刈った、・・・ばあちゃん、”へ”のハナシ 好きだった。
おれら ちっちゃい時、人前では ”へ”しちゃいけねぇ って教わっていたから、
”へ”のハナシは なんか 恥ずかしくて、素直に 聞けなかった。
ばあちゃん、あっけらかんと 「ブッ!」って やってた。
おれは ばあちゃん 恥ずかしくないんかな って 思いながら 聞いてた。
まだ ちっちゃかった 妹は 転げまわって おもしろがって いた。
それを見て、あっ、妹は まだ ガキなんだな、なんて 思ったもんだ。
ばあちゃん、たまに 本物の ”へ”の音 させようと いきばったりしたけど、なかなか出なくてな。
今じゃ、なつかしい 思い出だ。・・・(あぁ、ばあちゃんのハナシ、また 聞きてぇな)
そんな ”へ”のハナシ、やっか。
むかーしの ことだと。
ある 小さな 村に、一人の 娘が いてな、
この娘、かわいそうに ”へ”が出る 性分だったと。
出もの 腫れもの ところかまわず って言うけど、
”へ”をしちゃ まずい っていうとこでも ”へ”が出る。
「こんなんじゃ、一生、嫁にいけねぇかも しんねぇな」
親は 心配で しょうがなかったと。
ところが、捨てる神あれば、拾う神あり、ってほんとだな。
ある夏の日 娘が 山を 五つ越えた 村での お祭りに 行った時、
そこで 知り合った 村の 長者の 一人息子に みそめられてな、
ぜひ、嫁に ほしい って 言ってきたと。
願ってもない話と トントン拍子に 話が進み、いよいよ、娘が 嫁に行く って いう時、
親は、「嫁に行ったら、人のいるとこで ”へ”をしちゃ なんねぇぞ」って、言い聞かせたと。
さて、祝言の席、娘は ”へ”が したいのを ガマンしていたと。
だけど、”へ”が出る 性分だ。
ガマンにも 限界がある。
娘は とうとう ガマンできなくなって、「プーーッ!」・・・って、やっちまったと。
一瞬、なにごとかと 空気が とまった。
そして、”へ”をしたのが 嫁さん だってのが わかると、
みんな 嫁さんを 見て、笑いを かみ殺していたと。
娘は 顔を真っ赤にして 外に飛び出すと、池に 飛び込んで 死んじまったと。
あわてて 娘を 追いかけた ムコどの、
「やっと 一緒になったのに、”へ”ひとつで 死なせてしまうとは、おわびのしようがない」
池に 飛び込んで 死んじまったと。
それを見てた 長者の親、
「一人息子に 死なれては、もう 生きてく 張り合いもない」
池に 飛び込んで 死んじまったと。
今度は 娘の親、
「娘のせいで とんでもないことになった、申し訳ない」
池に 飛び込んで 死んじまったと。
それから、新郎の親戚、新婦の親戚、みんな、
「やれ、いたわしや」
次から 次へ 池に 飛び込んで 死んじまったと。
それを聞いた 村のもん、
「長者さまが いなくなっては、この村は やっていけない」
村のもんも 次々と 川に 飛び込んで 死んじまったと。
そして、とうとう 村には 誰も いなくなっちまったと。
”へ”ひとつで 村が全滅、・・・”へ”って こわいね。
おしまい
今日は ”へ”のハナシ やっか。
”へ”って、なんか わかっか?(尻から 出る ヤツな)
おれが ばあちゃんから 聞いた ハナシだ。
へっぴり嫁、せんべいこわい、草刈った、・・・ばあちゃん、”へ”のハナシ 好きだった。
おれら ちっちゃい時、人前では ”へ”しちゃいけねぇ って教わっていたから、
”へ”のハナシは なんか 恥ずかしくて、素直に 聞けなかった。
ばあちゃん、あっけらかんと 「ブッ!」って やってた。
おれは ばあちゃん 恥ずかしくないんかな って 思いながら 聞いてた。
まだ ちっちゃかった 妹は 転げまわって おもしろがって いた。
それを見て、あっ、妹は まだ ガキなんだな、なんて 思ったもんだ。
ばあちゃん、たまに 本物の ”へ”の音 させようと いきばったりしたけど、なかなか出なくてな。
今じゃ、なつかしい 思い出だ。・・・(あぁ、ばあちゃんのハナシ、また 聞きてぇな)
そんな ”へ”のハナシ、やっか。
むかーしの ことだと。
ある 小さな 村に、一人の 娘が いてな、
この娘、かわいそうに ”へ”が出る 性分だったと。
出もの 腫れもの ところかまわず って言うけど、
”へ”をしちゃ まずい っていうとこでも ”へ”が出る。
「こんなんじゃ、一生、嫁にいけねぇかも しんねぇな」
親は 心配で しょうがなかったと。
ところが、捨てる神あれば、拾う神あり、ってほんとだな。
ある夏の日 娘が 山を 五つ越えた 村での お祭りに 行った時、
そこで 知り合った 村の 長者の 一人息子に みそめられてな、
ぜひ、嫁に ほしい って 言ってきたと。
願ってもない話と トントン拍子に 話が進み、いよいよ、娘が 嫁に行く って いう時、
親は、「嫁に行ったら、人のいるとこで ”へ”をしちゃ なんねぇぞ」って、言い聞かせたと。
さて、祝言の席、娘は ”へ”が したいのを ガマンしていたと。
だけど、”へ”が出る 性分だ。
ガマンにも 限界がある。
娘は とうとう ガマンできなくなって、「プーーッ!」・・・って、やっちまったと。
一瞬、なにごとかと 空気が とまった。
そして、”へ”をしたのが 嫁さん だってのが わかると、
みんな 嫁さんを 見て、笑いを かみ殺していたと。
娘は 顔を真っ赤にして 外に飛び出すと、池に 飛び込んで 死んじまったと。
あわてて 娘を 追いかけた ムコどの、
「やっと 一緒になったのに、”へ”ひとつで 死なせてしまうとは、おわびのしようがない」
池に 飛び込んで 死んじまったと。
それを見てた 長者の親、
「一人息子に 死なれては、もう 生きてく 張り合いもない」
池に 飛び込んで 死んじまったと。
今度は 娘の親、
「娘のせいで とんでもないことになった、申し訳ない」
池に 飛び込んで 死んじまったと。
それから、新郎の親戚、新婦の親戚、みんな、
「やれ、いたわしや」
次から 次へ 池に 飛び込んで 死んじまったと。
それを聞いた 村のもん、
「長者さまが いなくなっては、この村は やっていけない」
村のもんも 次々と 川に 飛び込んで 死んじまったと。
そして、とうとう 村には 誰も いなくなっちまったと。
”へ”ひとつで 村が全滅、・・・”へ”って こわいね。
おしまい