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「しゃべる しゃもじ」 リメイク by akira

2012年09月03日 00時24分01秒 | 民話(リメイク by akira)
 「しゃべる しゃもじ」  元ネタ「尻なりしゃもじ」 笠原 政雄 「日本の民話 5 甲信越」

 今日は「しゃべる しゃもじ」って ハナシ やっかんな。(ワーイ)

 オレがちっちゃい頃、じいちゃんから 聞いたハナシだ。(フント)
ほんとかうそか わかんねぇハナシだけど、
ほんとのハナシだと思って 聞かなきゃなんねぇ。(フントコショ)

 むかし、あるとこに、なまけもんの 男がいたと。(フント)
この男、いっつも「楽して 儲かる方法 ねぇかな」なんて 考えてる男で、
もう 嫁さん もらっても おかしくねぇ年だったんだけど、
そんな男なもんだから なかなか 嫁の来てが なかったと。(フントコショ)

 ある時のこと、「初夢が 一番 正夢になる 確率が高い」って 聞いて、
男は 正月の二日が来んのを 首を長くして 待っていたと。(フント)
(初夢ってのは 正月の二日に見る夢のこと、正夢ってのは 夢がほんとになることだ)

 やっと、待ちに待った 正月の二日が来て、
男は(いい初夢が 見れますように)って、願をかけて 寝たと。(フント)
(なんせ 一年に一回しか チャンスがないんだから 男も必死だ)
 そしたら、垣根のてっぺんに しゃもじがのっかってる 夢を 見たと。(フント)
変な夢 見たなって、思いながらも、朝 起きて 垣根に 行ってみると、
なんと 垣根のてっぺんに しゃもじが のっかっていたと。(フントコショ)
(おっ、夢で見たのと おんなじだ)って、手に取って、
(はて、なんか 特別なしゃもじなのかな)って、じろじろ 見てみたが、
どう見ても 普通のしゃもじにしか 見えないんだと。(フント)

 そのうち、なんかの拍子に、しゃもじで ほっぺたを なぜてみると、
「オタビト タビト、オタビト タビト」って、ほっぺたが しゃべりだしたと。(フント)
「あれ、どうしたんだんべ?」
ほっぺた さすったり つねったりしてみても、おしゃべりが 止まんねぇんだと。(フント)
「あちゃー、・・・こりゃ 大変だ」って、言ってるうちに、
なんかの拍子に しゃもじの裏っ側で なぜてみると ピタッっと 止まったと。(フント)

「あれっ」って、思って、もう一回 しゃもじの表っ側で ほっぺたを なぜてみると、
「オタビト タビト、オタビト タビト」って、また しゃべりだしたと。(フント)
そんで、しゃもじの裏っ側で ほっぺたを なぜてみると ピタッっと 止まったと。(フント)
(そっか、表っ側でなぜると しゃべって、裏っ側でなぜると 止まるんだな)
こりゃ、おもしろい しゃもじだって ながめながら、
(さて、なにに 使うかな?)って、考えてっと、ハッと ひらめいたと。(フント)

 暗くなるのを待って、男は 村一番の 長者さまの家に 行くと、
便所のくみとり口の ふたをあけて、中に 入ったと。(フント)
 そこで しばらく 待っていると、長者さまの ひとり娘が 入ってきたと。(フント)
んで 娘がしゃがんで 尻がむきだしになったところで、
しゃもじで 娘の尻を ぺろって なぜたと。(フント)
すると、娘の尻が 突然、
「オタビト タビト、オタビト タビト」って、しゃべりだしたと。(フント)
娘は びっくりして 寝床にかけこむと、ふとんかぶって 泣き出したと。(フント)

 次の日の朝、娘が起きてこないので 長者さまが 心配して 見にいくと、
「オタビト タビト、オタビト タビト」って、しゃべる声が聞こえるんだと。(フント)
「誰だ、変な声でしゃべってんんのは」って、長者さまが聞くと、
「お尻が しゃべりだして 止まらなくなっちゃったの」
娘は 恥ずかしそうに 言うと また 泣き出したと。(フント)

 さあ 長者さまは(大事な)娘が とんでもない病気になったと、 
あっちこっちの医者に 声かけて 来てもらったが、
「オタビト タビト、オタビト タビト」
娘の尻が しゃべんのを見て、びっくりするばかりで、みんな、お手上げなんだと。(フント)

 長者さまは 困り果てて、
「娘の病気を 治してくれた者を 娘の婿にする」って、立て札を出したと。(フント)
すると、祈祷師やら 山伏やら なんやら いろんなのが やって来たが、
誰も 治せなかったと。(フント)
なかには 尻がしゃべるんだとよ なんて うわさを聞いて、
からかい半分で 娘のとこに来るヤツも 出てくる始末だったと。(フントコショ)
 
 (もう そろそろ いかんべ)
男は 占い師に化けて、長者さまのうちへ 行ったと。(フント)
「おらが ちょっと まじないをかければ、娘さんの病気なんか すぐに治っちまうだ」
長者さまは、男を 娘の寝てっとこに 連れて行ったと。(フント)
すると「オタビト タビト、オタビト タビト」って、しゃべる声が 聞こえてきて、
娘が 恥ずかしそうに 両手で 顔を隠していたと。(フント)

 男は「娘さんと 二人に させてくれ」って、言って、二人っきりになると、
娘に 尻を出すようにいって、しゃもじの裏っ側で、娘の尻を ぺろって なぜたと。(フント)
すると、ピタッっと おしゃべりが 止まったと。(フントコショ)

娘は 大喜びで 長者さまを呼んでくると、
「こりゃあ、日本一の 占い師にちげぇねぇ」って、喜んで、
約束どおり 娘の婿(むこ)にしたと。(フント)

 そうして、男は 長者さまの 跡取りになって、一生 安楽に 暮らしたと。(フントコショ)

 おめーらも うちへ帰ったら しゃもじで ほっぺた なぜてみろ、
もしかすっと「オタビト タビト、オタビト タビト」って、しゃべっかも しんねぇぞ。 

 いきが ポーンと さけた。

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