民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

春日一幸 その1 佐野 眞一

2016年07月23日 00時06分01秒 | 雑学知識
 「新 忘れられた日本人」 佐野 眞一 毎日新聞社 2009年

 味のありすぎる政治家・春日一幸 その1 P-117

 前略

 政治家として立派だったかどうかは別として、いまはなき民社党委員長の春日一幸は味のある、というより味のありすぎる政治家だった。
 今回は、いまでは完全に死滅してしまった政治家の典型の春日一幸を取りあげてみたい。
 私が春日に初めて会ったのは、春日が民社党の委員長を突然辞任して、政界に様々な憶測が飛びかっていた昭和52(1977)年の秋である。

 春日は黒いフィクサー、野合の闘将、永田町の妖怪、荒業師、陽気な錬金術師といった、アクの強さとうさんくささを感じさせる評価が終生つきまとった政治家である。それだけに、突然の委員長辞任については、離党後入閣説、ガン説、日韓癒着関係発覚説、東海銀行不正融資説、愛人問題発覚説などなまぐさい噂が流れていた。
 あらためて辞任の真相を尋ねると、春日は政治家というより浪曲師の広沢虎造ばりの渋い声で、こんな時代がかった台詞を音吐朗々とまくしたてた。

「ガンはガンでも、頑固のガンだ。ごらんの通りピンピンしている。日韓癒着といわれるか。日韓は元々癒着せねばならん。利害一致の間柄だ。大義に即した癒着である。いささかたりとも疑惑はない。愛人?もはや色気も瘡(カサ)ッ気も解脱、枯淡の心境だ」

 それにしてはなまぐさい噂が絶えないが、とたたみかけると、こんな答えが返ってきた。

「そりゃチンポは立つ。チンポは立つが指弾を受けるような立ち方ではない。オーソドックスな立ち方である」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。