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「闇の花道」天切り松闇がたり 第一巻  浅田 次郎

2016年11月17日 00時37分36秒 | 雑学知識
「闇の花道」天切り松闇がたり 第一巻  浅田 次郎  集英社文庫 2002年

 月二回先生について、朗読を習い初めて約1年半、
いまオイラにとって朗読は大きなウエイトを占めている。
読む本を選ぶのも朗読に適しているかどうかは大きな判断基準。
そんな中で朗読してみたい本は、前に読んだことのある「天切り松」。
この度、朗読するためにこの本を購入した。
解説が興味深かったので紹介します。

 解説  降旗 康男(映画監督)  映画「鉄道員(ぽっぽや)」を監督

 前略

 物語と歴史とは日本語ではまったく縁がないような違う単語ですが、たとえばフランス語ではイストワールという単語が物語と歴史の両方を意味します。英語でもヒストリーとストーリーとは繋がりがあるようです。おそらくは二番煎じ三番煎じの説であろうと思いますが、勝ち残った者のイストワールが歴史であり、負けた者、世に受け入れられなかった者のイストワールが物語なのではあるまいかなぞと、私は物知り顔で酒席に肴を提供しています。勝ち組が過去を振り返って現在を肯定する。現在を是とするために過去を都合よく組み立てなおす。それが歴史の取り除くことの出来ない本質です。個人的には回顧録も顕彰伝も免れない本質です。そして物語であるはずの小説にもこの目線は忍び込むようです。それとは反対に、人である不幸を運命として受け入れた時、振り返ることは無駄なことです。運命の起点に立ってしか世の中を見渡すことは出来ません。天切り松の魅力は、運命を引き受けた静かで動かない視点にあると言えるのではないでしょうか。

 後略

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