自身が、生まれて、フォア―ドしアフォードされる状況の一部しか意識できない環境が、テクノロジーで制御された情報に囲まれて、閉じがちだということに、気づいてはいる。FBページを開くたびに表示される商品へのアテンションが高まったり、「イイね」をクリックするほどに、都合の良い情報が表示される、アルゴリズムの中にいる自覚はある。膨張し続ける複雑系のカオスの中で、コミュニケーションを縮約してくれる手がかりは、心地良いとともに、閉じ込められてゆく不気味さもある。
生命にとって、自らの生存圏の拡張と収縮を繰り返すことが ”生きている”ことだとすれば、その閉塞・収縮は”死”という絶対安定への誘いではないかと、思うときに開いたガイドブックの話です。
『情報環世界 身体とAIの間であそぶガイドブック』は、コミュニケーションで成り立っている社会システム内存在として私の、意識の限界を超える手がかりを伝えてくれる。
目次
情報環世界まんが(ひらのりょう)
Information Umwelt Map(ひらのりょう+佐藤亜沙美)
第1章 まず閉じこもることから――身体と情報環世界(伊藤亜紗)
第2章 情報環世界をうつす[写す・移す・映す](ドミニク・チェン)
第3章 “わかる"と“つくる"の情報環世界——環世界間移動能力と創造性(緒方壽人)
第4章 世界と関係する、身体的な想像力――憑依とテレパシー(塚田有那)
第5章 情報環世界とは何だったのか(渡邊淳司)
コラム(和田夏実・村田藍子・桜井祐・内田友紀・会田大也・長谷川愛・小倉ヒラク・原島大輔・浦川通・山下遼・橋口恭子・畠中実・木下真吾)
情報環世界ワークショップの手引き
p.133 <世界には「有限ゲーム(finite game)」と「無限ゲーム(Infinite game)」があって、・・・無限ゲームをする人は、枠組みやルールを更新しながら、境界とともにゲームをする、と。>
多様な分野・組織・世代に分化をつづけてきた近代社会、記号・言語の枠や論理を更新しながら、その境界とともにゲームをつづけてゆく現代社会での振舞い方を示唆してくれる。
p.135<身体や無意識、人工知能を包含する、わからない他者との共生・協働のための方法論であり、身体と人工知能の間で無限ゲームをあそび続けるためのフレームワーク>
身体動作を外部化してきた先のロボティックス、意識的思考の先のAIに、あらたなデータを提供し続ける楽しみは、無限ゲームの中に。
N.ルーマンの『芸術』の領域を、身体とAIの間の遊びまで、拡張しておこう。
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