のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

小さなことがたくさん

2006-06-01 | KA
「ごめん、支度しないといけない時間。」電話を切って急いで2回目のショーに向かいました。いつもより時間に余裕がないのはここからスタートしました。
影絵までは確か順調でした。影絵のあとに戦いがあり、最後にフルートが残され、それを拾いにいくシーンがあります。双子の男の子が捕らえられ連れて行かれ、はっと残されたフルートに気付く・・・
「あれ?」
あるはずのフルートが無いようなのです。いつもはそのフルートにスポットライトが当たっているのにそれが無く
1.もしかしたら無い。
2.でも見えないだけかもしれない。
3.あって取りに行かないより、行って無かったほうが何とかなる。
そう判断して舞台中央に走ると、やはりありませんでした。自分の中で即座に話を作り、その場をしのぎ走って戻りました。
舞台裏にはコーチが待ち構えていて「ノリコ、申し訳なかった・・・」そしてフルートを置き忘れた本人も。
いつもその役をやるアーティストが一人は休みで、一人は早退し、代役をした彼は説明だけ受けて本番を迎えてしまったようです。理由がわかればいいのです。「私の視力もよくないし、双子の男の子に夢中になってフルートを置くところを確認していなかった私も悪かったから・・・」
このシーンのあとにいつもバトンを回しにトレーニングルームに行きまが、そんなことがあって練習の時間が短くなってしまいました。
トレーニングルームから次の待機場所に行くと今度は双子の男の子が「アーティスティックコーディネーターのエリックから聞いた?」と問いかけられ、私はてっきりフルートが無かったことについてかと思ったら次のシーンのことだというのです。彼との別れのシーンが長いので短くして欲しいという内容。どう短くするか二人で確認しました。ここでもいつもはウォームアップをしますがあわただしく時間が過ぎました。
次のシーンで舞台に立ち、目をつぶった瞬間「危ない。」と思いました。何度かそう思ったことは今までにあっても何とかなっていましたが今日は本当に危なかったです。目を開けるとコンタクトレンズが浮いてしまったのです。瞬きをするタイミングや大きさを誤っていたら絶対に落ちていました。
そのすぐあとのシーンで彼との別れを短くしてみると、私にとっては何かを感じる前に事が過ぎてしまい、悲しみもいつもの半分もありませんでした。それでも明日からもこの短さでやらなければなりません。私の気持ちの変化のスピードを上げられるようにしないと、見せかけだけのつまらないものになってしまいます。
エリックさんは前に「キスのシーンが長すぎる。」といい、何回か後になってもあまり変わらないと「僕は今日ストップウォッチで計ってみたんだ。前は○○秒だったのに今は○○秒になっている。お客さんにはあなたたちの頭の中はわからないのだから短くして欲しい。」と言われたことがありました。“アーティスティック”という名がついている役職ですが、私にとってはそう思えないことがあります。“間”のマジック、その日の流れ、その時その時の微妙な違い、実際に舞台に立って起こることは何秒と決められることではないのです。

夜はあわただしい時間になってしまいましたが、午後は盛りだくさんでも静かな時間を過ごしていました。昨日の取材の続きがインタビューを中心にあったのです。私は話すのが本来得意ではありませんが、今回は10語らなくても10感じてもらえる方だったので、今までのことを振り返ったり、知らないことを発見したり、今の自分を見つめなおしたり、楽しいひと時でした。2日間の取材も彼の穏やかな人柄のお蔭で全く苦になりませんでした。
夏に発行の『プレジデント』に掲載される予定です。

コメント
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