
―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月21日の稿に
12月21日、晴后曇、行程5里、熊本市。
昨夜、馬酔木居で教へられた貸家を見分すべく、10時、約束通り加藤社で雑誌を読みながら待つてゐたら、例のスタイルで元寛さんがやつてきた-馬酔木さんは遅れて逢へなかつたので残念-、連れ立つて出町はづれの若い産婆さん立石嬢を訪ね、案内されて住む人もなく荒れるにまかした農家作りの貸家へ行く、とても住めさうにない、広すぎる、暗すぎる-その隣家の一室に間借して独占してゐる五校生に同宿を申し込んで家主に交渉して貰ふ、とても今日の事にはならない、数日後を約して、私は川尻へ急行する、途中一杯二杯三杯、宿で御飯を食べて寝床まで敷いたが、とても睡れさうにないし、引越の時の事もあるので、電車で又熊本へ舞ひ戻る、そして彼女を驚かした、彼女もさすがに-私は私の思惑によつて、今日まで逢はなかつたが-なつかしさうに、同時に用心ぶかく、いろいろの事を話した、私も労れと酔ひとのために、とうとうそこへ寝込んでしまつた、ただ寝込んでしまつただけだけれど、見つともないことだつた、少くとも私としては恥ざらしだつた。
※表題句の外、4句を記す
―四方のたより― 風神雷神-ふうじんらいじん-
「出遊-あそびいづらむ-上弦月彷徨篇-じやうげんのつきさすらひへん-」
Scene.7「風神雷神-ふうじんらいじん-」の前半部は、デカルコ・マリィと山田いづみによるDuo、演奏はViolaの大竹徹氏とPercussionの田中康之氏、Time-4’36”
出遊-上弦月彷徨篇/Scene.7-1-風塵雷神-ふうじんらいじん-
