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-表象の森- カオス入門
J.グリック「カオス-新しい科学をつくる」新潮文庫(1991年初版)
「進化とはフィードバックのあるカオスだよ」-ジョゼフ・フォード
この宇宙は、たしかにでたらめさと散逸の世界であるのかもしれない。
だが「方向」を持ったでたらめさは、驚くべき複雑さをつくることができるのだ。
そして散逸こそは、その昔ローレンツが発見したように、秩序のもとなのである。
「神はたしかに人間相手にサイコロを振っているのだ」とは、
アインシュタインの有名な問いかけに対するフォードの答えである。
「だがそのサイコロには、何かが仕込んである。現在の物理学の主な目的とは、それがどんな法則に従って仕込まれたか、そしてどうすればそれを人間のために利用できるかを突きとめることだ」-P525
現代科学の「相対論」「量子論」発見につづいた「カオス」論の展開をバタフライ効果にはじまり解き明かしてくれる非線形科学の入門書として、文系人間にとってはかなりの良書といえるだろう。
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<春-95>
百千鳥声のかぎりは鳴き古りぬまだ訪れぬものは君のみ 恵慶
恵慶法師集。
邦雄曰く、百千鳥は春の諸鳥の囀りや群がり遊ぶさまを指す。曙から黄昏まで、梅の匂い初める頃から桜の散る三月盡まで、軒近く訪れて鳴き、今は聞き古りた。それほどまで春も更けたが、尋ねて来ないのはただ一人、愛する人のみ。この歌、年が変わって春二月になるまで顔を見せぬ人への贈歌。軽い諧謔を交えた淡泊な調べが微笑ましく、印象的な春歌、と。
言の葉は露もるべくもなかりしを風に散りかふ花を聞くかな 清少納言
清少納言集。
邦雄曰く、清麗な言語感覚は結句「花を聞くかな」にも躍如。清少納言も紫式部同様「歌詠みのほどよりも物書く筆は殊勝」と言われてもやむを得ない歌人だが、秀作に乏しい家集の中で、この一首はともかく出色の調べだ。「言の葉」も縁語として自然、しかも第二句に、いかにも清女らしい理智のきらめきが見える。なお、清少納言集はこの歌に始まる、と。
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