Information - CASOにおけるデカルコマニィ的展開「青空」展
―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、11月16日の稿に
11月16日、曇、句会、今夜も昧々居の厄介になった
しぐれ日和である-去年もさうだつた-、去年の印象を新たにする庭の樹々-山茶花も咲いてゐる、八ツ手も咲いてゐる、津波蕗もサルビヤも、そして柿が二つ三つ残んの実を持つたまま枯枝をのばしている。
朝酒、何といふうまさだらう、いい機嫌で、昧々さんをひつぱりだして散歩する、そして宇平居へおしかけて昼酒、また散歩、塩風呂にはいり二丘居を訪ね、筑紫亭でみつぐり会の句会、フグチリでさんざん飲んで饒舌つた、句会は遠慮のない親しみふかいものだつた。
枕許に、水といつしょに酒がおいてあるには恐縮した、有難いよりも勿躰なかつた-昧々さんの人柄を語るに最もふさはしい事実だ-。
春風秋雨 花開草枯
自性自愚 歩々仏土
メイ僧のメンかぶらうとあせるよりも
ホイトウ坊主がホントウなるらん
酔来枕石 谺声不藏
酒中酒尽 無我無仏
※表題句の外、10句を記す
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