リベラルくずれの繰り言

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食料自給率って大事じゃないの?

2018-01-13 | 一般
カロリーベースの食料自給率を重視しているのはほとんど日本だけとの談話を読んで驚いた(朝日新聞2018年1月13日).1965年から生産額ベースの自給率が公表されていたが,1980年にカロリーベースが登場した.折しも日米間で牛肉・オレンジの輸入自由化交渉が盛んだったころで,低い数字を示して自由化を阻止するために農水省が導入したのだという.
だが,「世界標準は生産額ベースの自給率」というわけではないらしい.同談話によれば,世界の食糧安全保障の定義は「国民の栄養が足りているか」,「貧困層が買えるか」,「災害時に調達できるか」の3点だという.この「災害」がどこまで想定しているのかわからないが,国際紛争で輸入がストップするといった事態まで考えた数字ではないのではないだろうか.諸外国では食料を自給するという発想はないのだろうか.
さすがにアメリカからの輸入がストップするという事態は(トランプ氏以外が大統領であれば)考えにくいが,中国あたりは(数年前のレアアースのことを考えても)国際紛争にからめて輸出制限を使ってくる可能性は高い.それがWTO協定違反だからとためらうことはないだろう.
グローバリゼーションの社会にあって「自給自足」「地産地消」という考えは古いのかもしれない.輸入が途絶えて国民が飢えに苦しんだ戦争の過ちを繰り返さないことこそが大切というのも当然だ.だが自給率を考えずにTPPとかでなんでも自由化してしまうというのはどうも抵抗がある.
ただ,「カロリーベースの自給率」という指標が矛盾を抱えていることはたしかなようだ.たとえばカロリーの低い野菜を作る農家などの貢献が低いとみなされてしまう.また,「自給率」の定義上,有事にあって輸入がストップしたら「自給率100%」になるというのもおかしい.そんな事情もあって2015年から「食料自給力」という新しい指標を導入したという.
たしかに政府が膨大な補助金を投入して農家が何を作るかを指図するような構図はどこかおかしいような気もする.だが,「自給率」あるいは「自給力」という指標はやはり大切ではないだろうか.

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