リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

言論のフェアプレーはつらいよ

2017-06-24 | 政治
香山リカさんが母子の孤立対策などを訴える予定だった講演会が,「つぶす」などと運営を妨害する趣旨の予告を受けて中心になったという.講演の内容は政治的な反発を受けるようなものではないように思えるが,朝日新聞(2017-6-22)によれば,氏は在日コリアンらに関する排外的な主張をする人物を街頭で批判してきたそうだ.その人物がツイッターで講演会のことを述べ,ネット上では共催団体の電話番号を掲載して「問い合わせると,いろいろご意見できそうですね」などの書き込みもあったという.団体は20件ほどの電話を受け,「参加者の安全を最優先」して講演会を中止にした.ツイッターでは,その後,香山氏も自分の講演会を問題視していたことなどから「因果応報」とも書き込んだという.
この記事を読んで,「つぶす」は威力業務妨害か何か,「いろいろご意見」は煽動か教唆か何かの罪に当たるのではと思ったのだが,香山氏は「卑劣なやり方とは思うが,彼らにも抗議の自由はある.」として,その点は問題視していないらしい.だが昨今似たような形で抗議を受けたと言って講演や展示を「自粛」するケースが多いように思う.安全の懸念が生じるような「ご意見」をすれば何でも中止に追い込めるとなると,やはり「危険」だ.
言論の自由の話になるとヴォルテールのものとされる言葉「私はあなたの意見に反対だが,それを述べる権利は命をかけて守る」が持ち出される.だがなかば組織的に「ご意見」で言論を封じようとする勢力に対し,手荒なことはしないリベラル派は必然的に分が悪くなる.


(追記)
朝日新聞を読んでいると,明らかに朝日の主張とは異なる投書などが掲載されることが多い.記事に関する識者コメントも賛否両論の論者を取り上げていることも多い.読者に判断の材料を提供するよう異なる見方を紹介することがメディアの務め…といったことを謳っていたように思うので,その原則を愚直なまでに貫いているようだ.そんな紙面を見ながら常々思っていた.読売新聞や産経新聞も同じように反対意見も公平に取り上げているのだろうかと.
うすうす感じていたのだが,どうやらそうではないらしい.少なくとも2015年の安保法制をめぐる議論に関し,読売新聞は反対の声をほとんど取り上げなかったそうだ.池上彰氏は,「安保法制賛成の新聞は反対意見をほとんど取り上げない。そこが反対派の新聞と大きく違う点です。読売は反対の議論を載せません。そうなると、これがはたしてきちんとした報道なのかってことになる」(『週刊東洋経済』2015年9月5日号)と述べたそうだ.
http://lite-ra.com/2017/05/post-3192_4.html
そんな読売新聞が発行部数では一番だ.これでは国会で答弁せずに読売新聞を読めという安倍首相の思うつぼ.やはりフェアプレーはつらい.



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