リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

日本の民主主義が死んだ日,妻は共謀罪を知らなかった

2017-06-23 | 政治
2017年6月15日,安倍政権は参院の委員会審議を無理やり打ち切って本会議での採決に持ち込み,共謀罪法案(テロ等準備罪法案)を可決成立させた.国会会期の終盤で野党による不信任案提出などの激しい攻防が予想されていたが,まさか審議打ち切りという挙に出るとは誰も思ってもみなかっただろう.こんな重大な局面に,妻はきょとんとしていた.共謀罪がどういうものなのか全く知らなかったらしい.テレビニュースを見ないのは私も同じだが,新聞には一応目を通していたはず.だがあれだけ問題になっていても全くスルーしていたのだ.
自分にはテロとか陰謀とかには関係ないと思っているのだろう.だが組織犯罪を相談するのを罪とするという名目の法案も,一般人までもが対象になる可能性を排除できないおそれがある.政府は一般人が対象になることはありえないといった国会答弁をしたこともあったようだが,答弁もころころ変わってあてにならない.
たしかに妻たちの井戸端会議が実際に共謀罪で検挙されることはないのかもしれない.だが政権を追及するメディアが締め付けられれば,国民は政府に都合のいい「大本営発表」以外は知らされなくなる.そうでなくとも卒業式で起立・斉唱を細かくチェックしたり,講演会や展覧会が中止に追い込まれたりと気が重くなるようなニュースが多い.実行前の相談を処罰する共謀罪ができたことでますます息苦しい世になりそうだ.
為政者にとって最も都合がいいのは無関心だ.声なき声とは知っていても,声を上げ続けていなかければならない.

 
(追記)やはり新聞は解説がうまい.2017年7月11日の朝日新聞の朝刊で,一般の人が巻き込まれかねない事例がイラスト入りでわかりやすく紹介されていた.
・マンション建設に反対して座り込み運動を予定している人たちが,たまたま予定地の近くで花見をするために道具を買ったらそれが「準備行為」とみなされて処罰される.
・合唱クラブのみんなでコピーしようとして楽譜を買ったらそれが「準備行為」とみなされて処罰される.
後者などまさかと思われるだろうが,共謀罪が処罰対象とする行為は277にも及び,その中に著作権法違反も含まれるのだ.著作権法違反のどこがテロ等準備罪になるのだろう?
私だってまさか政府が著作権法違反を血眼になって検挙しようとするとは思っていない.怖いのは法の恣意的運用だ.かなり前のことだが,マンションの郵便受けに共産党だか何かの機関紙を配った人が有罪になるという事件があった.郵便受けには不動産やスポーツジムなどいろいろなチラシが投函されているはずなのに,共産党がねらいうちにされた形になった.共謀罪がなくてもそうした恣意的運用は多いという.(関連する記事は無数にあるのだろうけど,たとえば『「恣意的な運用は日常茶飯事」 亀石弁護士が語る共謀罪』参照.)共産党なんて関係ないと思っている人でも,マンション建設反対はどうか.そのマンション建設に首相のお友達がかかわっていたら....あまつさえ国会での審議中も「共謀罪で逮捕だ」などというヤジが飛んだと聞いた.権力による軽々しい運用を許してはならない.

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