リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

日本の先端技術だった永久磁石で中国が世界シェア8割になった逆転劇

2024-12-20 | 政治
中国はレアアース禁輸を武器に日本企業に中国で現地生産させることで日本の先端技術だった永久磁石製造の技術やノウハウを取得し、10年もたたずに世界シェアの80%を握るまでになった。
いとも簡単に劇的なシェア逆転が起こった経緯が朝日新聞2024-12-19でまとめられていた。
問題の製品は永久磁石。レアアースのネオジムやジスプロシウムを使った高性能磁石はハイブリッド車や電気自動車のモーターに欠かせない要素技術だ。かつては日立金属(現プロテリアル)、TDKなど3社が世界市場を押さえていた。ところが中国はレアアースの対日輸出を絞り、尖閣諸島沖での中国漁船の体当たり事件をきっかけに全面禁輸に移行した。その一方で、中国で現地生産するならレアアースを供給するともちかけ、TDKや日立金属はそれぞれ中国に合弁会社を設立して現地生産を開始した。ところが10年もたたずに中国勢が世界シェアの80%を握るまでになった。躍進したのは日立金属の合弁相手だった「中科三環」だという。同社一社というわけではないようだが、合弁を機に製造技術を獲得したのが契機になったのだろう。
日本も永久磁石の技術の重要性は認識しており、2012年に経産省は高性能磁石を輸出管理の規制対象にも加えていたのだが、中国ビジネスを熱望するメーカー側に押されて中国進出を容認したらしい。だが経産省の人事異動で担当者が代わるうちに警戒感が薄らいでいったというのはお粗末ではないか。合弁企業で技術移転をさせるというのは中国だけでなくどこでもやっているはず。役人にはもう少し緊張感をもってほしい。
そうやって日本から技術を吸収して世界市場を制した中国は、永久磁石の製造技術を輸出禁止リストに加えたという。ひとたび日本から技術を引き出したら、それを発展させた成果はみすみす外には出さないというしたたかさだ。
そして今、アメリカが中国への半導体輸出規制を強化すると、ガリウムなど重要鉱物の対米輸出を禁じているとのこと。資源を握られているとなかなか厳しいものがあるが、レアアースの時の轍は踏まないようにしてほしい。

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