リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

政治家は保身のために過度な自粛要請をするな

2020-03-28 | 一般
首都圏の知事らが不要不急の外出自粛を求めている。埼玉県知事は散歩や公園での遊びは自粛対象ではないと明言しているが、東京都知事は27日の会見で「不要不急」の意味を尋ねられて「要は、その日でないと駄目なことがあるかどうか」とはぐらかした(朝日新聞2020-3-28)。なぜ散歩や公園での遊びは大丈夫と言ってくれないのだろう。感染のリスクが大きいとされている、換気が悪く、人が密集しているといった要件には当てはまらないはず。自粛要請が「今週末」の話であれば、散歩や遊びは月曜以降でもいいから「不要不急」ということになるかもしれない。だが、1都4県の知事による共同メッセージでは今週末に限らない自粛が求められているようで(昨日の記事)、期限がないとなると散歩や子供の遊びは「必要」だと思う。要請される自粛の対象がはっきりしないのでは、世間の目を気にして散歩さえも控えて却って健康を害する人が続出するのではないだろうか。

なぜ小池都知事は埼玉県知事のようにはっきり言ってくれなかったのか。それは「政治判断」ではないか。「××まではしなくていい」と言ってしまうと、感染拡大の責任を問われかねない。政治的には、何でもかんでも自粛させておけば、爆発的感染が起こったとしても「やることはやった」と言い訳できるという打算があったのではないか。安倍首相が専門家から提案されたわけでもない3月初頭からの一斉休校を要請したのもそうだ。後日、専門家会議は「「感染状況が拡大傾向にある地域」では、一定期間、学校を休校にすることも一つの選択肢と考えられます。」と述べた(過去ブログ)が、「感染状況が拡大傾向にある地域では」という限定は3月初頭でも成り立ったと思う。
イベント自粛、外出自粛、一斉休校などは、やらないよりはやるほうが感染拡大の防止になることは明らかだ。だがいずれも社会に与える影響はあまりに大きい。そうした負の効果と、拡大防止の効用のバランスを考えて、最適な施策を決めるのが政治家の役割だ。

ことは自粛ばかりではない。海外の特定地域からの入国者に2週間は外出などをせず待機し、公共交通機関も使わないよう求めているが、成田空港から自宅まで帰る手段がなく、ホテルにも宿泊を断られて途方に暮れる人たちがいる(朝日新聞2020-3-28)。新学期からの学校再開でも「密閉状態で換気が悪い」「近距離での会話や発声がある」「手の届く距離に多くの人がいる」の3条件が揃わないようにとのガイドラインに対し、「現場を知らなさすぎる」との声が上がっている(それが誤解かもしれないことは過去ブログに書いた)。とりあえず言うことだけは言っておいて後は現場任せ、という現政権の姿勢により必要以上に社会が委縮してしまうことがこわい。

追記:
坂本龍一氏は、自身のオケの公演中止は仕方がないとしつつ、政府が経済的な支援をせずに公園を自粛するよう求めていることは「ひきょうに感じる」と述べている(朝日新聞2020-3-29)。政府もその後一定の支援を打ち出しており、際限なく支援することには私は懐疑的だが、2月の時点でのイベント自粛要請はたしかに唐突であり、疑問があった。

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