リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

ボットによる自動拡散が選挙で使われていた

2018-04-17 | 一般
自動的にSNSなどで発信する「ボット」がいろいろな国の選挙で利用されていた(朝日新聞2018-4-15).
2014年の日本の総選挙に関し,投票日前後に収集したツイート54万件を分析したところ,8割がボットなどによる拡散で,特に安倍政権支持の内容などが多く拡散されていたことが,ドイツの研究チームが2017年末に発表した論文で明らかにされた(同上;東洋経済Big Data).消費税率引き上げの先送りに伴って行なわれたこの総選挙で,与党は3分の2を維持したが,ボットの影響も否定できない.
具体的な手法として,特定のハッシュタグなどに反応して自動的に拡散し続けるとか,その際にあたかも人間が関与しているかのようにちょっと文章を変えるといったことがされているようだ.

上記朝日記事で紹介されている別の研究によれば,2016年の米国大統領選の投票日前後9日間の選挙関連ツイート約1900万件を収集して分析したところ,2割強はボットによるもので,その過半数(投票日当日には8割)がトランプ氏支持のものだったという.そして,投票日の翌日以降,ボットの動きはぴたっと止まった.
さらに別の研究では,米大統領選後に活動を停止したボットが,半年後のフランス大統領選で再びフェイクニュースを確認していたことがわかったという.

ネットの情報は信頼性が低いものも多く,うのみにはできないというのはわかりきったこと.だが「こういう考えの人が多い」というネット上の印象も容易に操作できてしまうのだ(過去ブログ「「ネット世論」は少人数で操作できる」も関連).

だがそれにしても,ボットによって特定の意見がネットユーザーの目に留まりやすくなるというのはいかがなものか.もちろん,テレビや紙の選挙ビラと違って,組織的に宣伝活動をする勢力の意見が目に留まりやすいのはボット以前からあるものだが.
内容の真偽を主体的に判断するだけでなく,「ネット上で多数に見える」ということにも惑わされないメディアリテラシーの啓発が必要だろう.

関連リンク:
「与党支持投稿、偽アカウント 多数発覚で波紋 イスラエル」(2019-4-4)


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