リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

公権力による脅しの横行

2017-07-06 | 政治
テロや戦争はもちろん怖いが,思想や言論を理由にした脅迫も怖い.そしてテロや戦争とは違い,そうした迫害は現実に起こっている.
思えば長年の間,私が最も憂慮していた時事問題は,イラク戦争などの国際情勢でもバブル崩壊やリーマンショックのような経済問題でもなく,1990年ごろはJR発足に伴う国労組合員不採用問題,2000年ごろは東京や大阪の公立学校卒業式での不起立を理由とする教員の処罰だった.
加計学園の獣医学部新設に関し「総理のご意向」と記した文書が報じられたとき,官房長官は「怪文書」として取り合おうとしなかったが,その文書が実際に存在していたことを当時の事務方トップだった前川喜平前事務次官が認めた.ところがそれが公表される直前に読売新聞が同氏が出会い系バーに出入りしたことを報じた.(池上彰氏が連載「新聞ななめ読み」で,普通なら地方ごとに記事の構成が異なるのに,この記事は全国で同じ扱いであり,トップダウンの指示があったことをうかがわせると指摘していたように記憶している.)記者会見で疑惑問題には歯切れの悪い官房長官も,同氏の人格攻撃には熱心だった.同氏にはオリンパスの不正暴露で苦労したマイケル・ウッドフォード氏も連帯のメッセージを寄せている(朝日新聞).
6月,文科省の現役職員の告発により「総理のご意向」文書の存在を認めざるを得なくなると,義家弘介文科副大臣は「一般論」としつつも守秘義務違反で処分される可能性を示唆した.(追記:結局,「個人メモが省内のフォルダーやメールで共有されて流出した」として事務次官らが厳重注意された.)
2016年2月には,高市早苗総務相が停波をちらつかせてテレビ局に「政治的公平性」を迫った(毎日新聞).実際に「停波」が命じられたわけではないが,その後,テレビでの選挙報道が減ったと聞く.

2015年,自民党の勉強会では議員が経団連に働きかけて広告をボイコットさせて「マスコミを懲らしめる」と発言し,作家の百田尚樹氏は「沖縄の二つの新聞社は潰さないといけない」と発言した(社説読み比べ).
これは「公権力」ではないのかもしれないが,論争のあるテーマに関して講演や展示をしようとすると,反対派が抗議の電話などを寄せ,安全上の配慮から取りやめに追い込まれたりする.6月24日の項目で紹介した事例は,講演のテーマ自身は論争の的になるようなものではなかったにもかかわらず,講演中止になったというものだ.

政権の意向に沿わない発言をする個人やメディアに対して処分をちらつかせて沈黙させようとし,屈せず発信する者は徹底的にたたこうとする.日本の報道への圧力については国際社会にも懸念がある(朝日新聞).先般成立した共謀罪法(テロ等準備罪法)も,一般の人やメディアにまで適用を広げさせてはならないのはもちろんだが,処罰されるかもしれないという脅迫としての効果は絶大で,問題は大きい.


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