再読のための覚え書き
失楽の庭
三部作・第二部
中河與一(1897-1994)
舞台は大戦間近の中国の北京と青島。女学生の優里と哲学の辰野教授は、互いに密かに惹かれ合っていたものの、そうとは知らずにそれぞれ他の人と結婚してしまう。
やがて、優里の夫が亡くなり、辰野の結婚が破綻すると、優里と辰野は愛し合う関係となるが、優里はカトリックの信仰ゆえに煩悶するのだった。
「考えてみれば私の今日までしていたことが全部神の名による虚偽であり、あまりにも人間性から離れて冷たく、道徳という美名にかくれて、自分を欺いていたような気がして来ました。そしてーー可能性自身は善でないにしても、可能性を無視することは悪だーーとおっしゃった教授の言葉を思いだしているのでした。」P.52
2021.11.7読了
失楽の庭
角川文庫
昭和29年8月20日初版発行
昭和30年6月15日4刷
旧仮名遣い
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