再読のための覚え書き
縮図
徳田秋声(1872-1943)
「縮図」は都新聞(現在の東京新聞)に連載されたが、芸者の半生を描いたその内容が、「太平洋戦争直前の時局柄好ましくない」と内閣情報局からの干渉を受ける。
秋声は、「妥協すれば作品は腑抜けになる」と言って、連載を中断。そのまま未完の作品となった。
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均平は、妻の死後に家を出て、銀子という芸者上がりの女と同棲している。
銀子が均平の後ろ盾で芸者屋を始めた頃、離れて暮らす娘から手紙をもらった均平は、富士見の結核療養所の入院中の息子を見舞い、それを機に、娘に銀子を引き合わせる。
物語は、貧しさの中にあっても素朴で健気な銀子の過去に遡り、淡々と銀子の来し方が綴られる。秋声が銀子の姿を慈しみながら書いているように思われた。
2021.11.23読了
縮図
岩波文庫
昭和26年7月5日初版発行
昭和46年5月17日19刷
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