再読のための覚え書き
出家とその弟子
倉田百三(1891-1943)
親鸞と弟子の唯円の物語。
魂の救済は他力本願にあるという、さまざまな苦難の道を歩んだ親鸞だからこそ辿り着いた思想。
親鸞の教えはキリスト教に似ていると言われるが、仏教文学者ではあるもののかつて教会に通っていた倉田百三による筆ゆえに、なおさらキリストの教えの世界観に近くなっているのだろうか。
弟子唯円の悩みは、そのままかつての親鸞の悩みでもあったという設定で語られる、親鸞の悟りの言葉の数々が、心に清々しく響いた。
「祈りの内には深い実践的の心持ちがある。いや、実行のいちばん深いものが祈祷だよ。恋のために祈るとは、真実に恋をすることにほかならない。お前は今何よりもお前の祈祷を聖いものにしなくてはならない。言いかえればお前の恋を仏のみ心にかなうように浄めなくてはならない。」
2021.11.14読了
出家とその弟子
角川文庫
昭和26年8月20日初版発行
昭和35年8月20日35刷
旧仮名遣い
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