再読のための覚え書き
楢山節考
深沢七郎(1914-1987)
言わずと知れた、姥捨の話。
今年69歳のおりんは、70になれば「楢山まいり」をしなければならない。山奥の部落ゆえ、食糧難からどの家庭も口減らしが必要だからである。
年寄りの模範たろうとするおりんは、心の奥では棄老を容認しているわけではないものの、凛とした態度で自ら楢山まいりを望み、息子を責め立てるようにして励まし、山の奥へ分入ってゆく……。
描かれる村の因習や挿入される民謡や童歌などに説得力があり、あたかも伝承小説のように思わせるが、すべて作者の創作とのこと。けれど、そのリアリティーも手伝って、棄老を受け入れざるを得なかった人々の心情に、深く溺れるようにして読んだ。
他3編
2022.9.5読了
楢山節考
新潮文庫
昭和39年7月30日初版発行
昭和44年7月30日6刷
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