再読のための覚え書き
日日の背信
丹羽文雄(1904-2005)
経済雑誌社の社長である土居広之は、病弱な妻を愛しつつも、偶然知った屋代幾子と邂逅を重ねるうちに、幾子に強く惹かれはじめた。
幾子は銀座の宝石商の2号だったが、土居によって助け出され、二人は一線を越えた関係となった。
幾子は土居に身も心も委ね切っていたが、土居の心は、妻の死をきっかけに揺れ動きはじめる。
「人間とは、 何という複雑怪奇な存在だろうか。矛盾したふたつの心を抱きながら、何くわぬ顔をしている。 不貞と貞潔が、仲よく心の中に存在するかのようである。人間は、もともと矛盾に耐えられるように組織されているのか。」
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ストーリー自体はまるで昼メロなのだが、心理描写が緻密で引き込まれる。その極致である最後の章は圧巻。
2022.9.25読了
日日の背信
新潮文庫
昭和33年2月15日初版発行
昭和44年8月30日28刷
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