長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

丹羽文雄「日日の背信」

2022-09-25 19:59:00 | 

再読のための覚え書き


日日の背信

丹羽文雄(1904-2005


経済雑誌社の社長である土居広之は、病弱な妻を愛しつつも、偶然知った屋代幾子と邂逅を重ねるうちに、幾子に強く惹かれはじめた。


幾子は銀座の宝石商の2号だったが、土居によって助け出され、二人は一線を越えた関係となった。


幾子は土居に身も心も委ね切っていたが、土居の心は、妻の死をきっかけに揺れ動きはじめる。


「人間とは、 何という複雑怪奇な存在だろうか。矛盾したふたつの心を抱きながら、何くわぬ顔をしている。 不貞と貞潔が、仲よく心の中に存在するかのようである。人間は、もともと矛盾に耐えられるように組織されているのか。」


・・・・・・・・・・・・


ストーリー自体はまるで昼メロなのだが、心理描写が緻密で引き込まれる。その極致である最後の章は圧巻。



2022.9.25読了


日日の背信

新潮文庫

昭和33215日初版発行

昭和4483028


# #読書 #文学 #文庫 #丹羽文雄 #日日の背信