再読のための覚え書き
夏の終わり
瀬戸内晴美(1922-2021)
作者自身の不倫関係を描いた私小説。
知子は、妻子ある慎吾と同棲をしていたが、知子のかつての愛人だった涼太の出現で、三角関係、四角関係へと歪みながら発展してゆく。
「その時知子にとって、愛は抽象的な輝かしい精神の貴族であって、肉慾はその前では、不様な道化にすぎなかった。心で愛してしまったということが、当時の知子にとっては取りかえしのつかない動かし難い厳然とした『事件』であったのだ。」
出口の見えない関係ではあるものの、瀬戸内寂聴の内省が小気味好く、読後感は清々しい。
2022.10.2読了
夏の終わり
新潮文庫
昭和41年11月10日初版発行
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