長島 潤 Sing a mindscape

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丹羽文雄「嫌がらせの年齢」

2022-10-15 15:45:00 | 

再読のための覚え書き


嫌がらせの年齢

丹羽文雄(1904-2005


終戦後の貧困な時代。

86歳のうめ女は、東京で孫夫婦と一緒に暮らしていたが、頭の呆けてしまったうめ女の醜悪な言動は、周囲にはまるで嫌がらせとしか感じさせない。


東京の孫夫婦の家を追われたうめ女は、田舎に疎開した別の孫夫婦の元に送られるが、そこはより一層厳しい生活を強いられていた……


「お婆さんにだって、何々小町といわれた時代もあったのよ。レコードが割れてしまっても、あとに美しいメロディが残るように、人間も美しい記憶だけを残さないのかしら。」


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昭和22年に書かれた作品だが、すでに日本の社会保障制度を批判している。たびたび出てくる「生き過ぎた」という言葉が悲しい。



2022.10.15読了


嫌がらせの年齢

新潮文庫

昭和2375日初版発行

昭和3161514

旧仮名遣い


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