再読のための覚え書き
嫌がらせの年齢
丹羽文雄(1904-2005)
終戦後の貧困な時代。
86歳のうめ女は、東京で孫夫婦と一緒に暮らしていたが、頭の呆けてしまったうめ女の醜悪な言動は、周囲にはまるで嫌がらせとしか感じさせない。
東京の孫夫婦の家を追われたうめ女は、田舎に疎開した別の孫夫婦の元に送られるが、そこはより一層厳しい生活を強いられていた……。
「お婆さんにだって、何々小町といわれた時代もあったのよ。レコードが割れてしまっても、あとに美しいメロディが残るように、人間も美しい記憶だけを残さないのかしら。」
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昭和22年に書かれた作品だが、すでに日本の社会保障制度を批判している。たびたび出てくる「生き過ぎた」という言葉が悲しい。
2022.10.15読了
嫌がらせの年齢
新潮文庫
昭和23年7月5日初版発行
昭和31年6月15日14刷
旧仮名遣い
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