再読のための覚え書き
みずうみ
テオドール・シュトルム(1817-1888)
関泰祐訳
表題作の「みずうみ」を学生時代に読んだときは新潮文庫だったので、今回の岩波文庫とは併録の短編作品が違う。
で、再読の「みずうみ」よりも心を捉えたのは「マルテと彼女の時計」。静けさの中の、あたたかさと切なさ。
《マルテと彼女の時計》
未婚の老女マルテは、空いた部屋の間貸しして暮らしていた。
マルテの部屋の古い時計は、孤独な彼女にとって友人でもあった。
時計が時を刻む音を聞きながら、マルテは思い出の中を生きる。
「だが、時計にも時計自身の意志があった。古くなってしまっていて、もう新時代のことなど大して気にかけなかった。だから、十二時を打つはずのところをよく六時を打ったりした。」
表題作の他、「マルテと彼女の時計」「広間にて」「林檎の熟する時」「遅咲きの薔薇」を併録。
2023.1.31読了
みずうみ
岩波文庫
1953年2月25日初版発行
1981年1月10日30刷
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