長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

徳田秋声「あらくれ」

2021-11-19 08:57:00 | 

再読のための覚え書き


あらくれ

徳田秋声(1872-1943


7歳で養女にもらわれたお島は、勝ち気な性格で、家で裁縫などをするよりも、田畑で働くことを好んだ。


やがて縁談が持ち上がるが、お島は相手を嫌い、結婚式当日逃げ出してしまう。


自己主張の強さと周囲の不理解のため、度々不幸に襲われるお島だが、やがて、洋裁店の仕事に夢を抱く。



2021.11.18読了


あらくれ

角川文庫

昭和32930日初版発行

昭和4543011

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #徳田秋声 #あらくれ






徳田秋声「黴」

2021-11-17 11:24:00 | 

再読のための覚え書き


徳田秋声(1872-1943


美化せずに現実をありのままを書くという自然主義文学。


作者の分身である笹村は、不遇の作家。同居する家事手伝いのお銀と関係を持ち、子どもが生まれて結婚するものの、互いに愛情のないまま世帯を持った二人は、愛情を育てる術もなく、不満を抱えながら無気力な日々を暮らしてゆく。


湿気を含んで澱んだ雰囲気と、妻に対する笹村の冷たい視線に辟易するが、結局、そこが味わいどころなのだろうなぁ。どうも私小説系は苦手だ。



2021.11.16読了


岩波文庫

昭和241110日初版発行

昭和319308

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #徳田秋声 #






倉田百三「出家とその弟子」

2021-11-15 10:12:00 | 

再読のための覚え書き


出家とその弟子

倉田百三(1891-1943


親鸞と弟子の唯円の物語。


魂の救済は他力本願にあるという、さまざまな苦難の道を歩んだ親鸞だからこそ辿り着いた思想。


親鸞の教えはキリスト教に似ていると言われるが、仏教文学者ではあるもののかつて教会に通っていた倉田百三による筆ゆえに、なおさらキリストの教えの世界観に近くなっているのだろうか。


弟子唯円の悩みは、そのままかつての親鸞の悩みでもあったという設定で語られる、親鸞の悟りの言葉の数々が、心に清々しく響いた。


「祈りの内には深い実践的の心持ちがある。いや、実行のいちばん深いものが祈祷だよ。恋のために祈るとは、真実に恋をすることにほかならない。お前は今何よりもお前の祈祷を聖いものにしなくてはならない。言いかえればお前の恋を仏のみ心にかなうように浄めなくてはならない。」



2021.11.14読了


出家とその弟子

角川文庫

昭和26820日初版発行

昭和3582035

旧仮名遣い


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中河與一「香妃・氷る舞踏場」

2021-11-14 10:26:00 | 

再読のための覚え書き


香妃・氷る舞踏場

中河與一(1897-1994


《鏡に這入る女》

日本人の久里とフランス人のアニエスの夫婦は、飛行機の曲芸師としてコンビを組み、奇抜な演技で世界中の観衆を沸かせてきた。


しかし、ひとりのドイツ人女性の出現で、夫婦の間には亀裂が入る。


そんな中、二人はイタリア南部の町で開かれる万国航空博覧会に参加。いつものように久里とアニエスは大空に舞うのだが……


6



2021.11.13読了


香妃・氷る舞踏場

角川文庫

昭和261115日初版発行

昭和297153

旧仮名遣い


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中河與一「悲劇の季節」

2021-11-09 07:58:00 | 

再読のための覚え書き


悲劇の季節

三部作・第三部

中河與一(1897-1994


三部作はいずれも、配偶者のある相手に対して純愛を捧げる人々を題材にしているが、第三部のこの「悲劇の季節」はかなり異色。


作家の篤野啓三(中河與一自身のことと思われる)に、11年に渡ってストーカー行為をする女性読者。


彼女は、作家が書いた二つの小説(第一部・第二部の「天の夕顔」と「失楽の庭」のことと思われる)の登場人物に成り切って、執拗に作家に付きまとう。



2021.11.8読了


悲劇の季節

角川文庫

昭和291120日初版発行

昭和3563013

旧仮名遣い


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