長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

林房雄「息子の青春」

2022-10-25 18:32:00 | 

再読のための覚え書き


息子の青春

林房雄(1903-1975


作家の越智さんと千代子夫人との間には、長男の春彦君、次男の秋彦くんの二人の息子がいる。


その息子たちの幼少期から青年期までの家族の物語。


描かれているのはまだ戦後の復興中の時代だと思うが、越智さんの、明るくほのぼのとしていてどこか芯の通った思想から来るのであろう、善良で質実な姿が印象的だった。



2022.10.25読了


息子の青春

新潮文庫

昭和30228日初版発行

昭和3861020

旧仮名遣い


# #読書 #文学 # # #文庫 #林房雄 #息子の青春






モーパッサン「脂肪の塊」

2022-10-23 19:29:00 | 

再読のための覚え書き


脂肪の塊

ギ・ド・モーパッサン(1850-1893

緑川亨訳


普仏戦争下のフランス。

非戦闘地帯へと逃げる乗り合い馬車の乗客は、商人夫妻、伯爵夫妻、県会議員夫妻、民主党員、修道女たち、そして、〈脂肪の塊〉と揶揄される娼婦エリザベット。


大雪で立ち往生すると、用意のいいエリザベットは、空腹な他の乗客たちに、持ってきた食べ物を分け与えた。


ようやく着いたトートの町の宿屋には、敵側のプロイセンの士官がいて、彼らがこの先に行くのを拒む。嘆願する乗客たちに、士官は条件をつけるのだった……


・・・・・・・・・・・・


乗り合い馬車の乗客たちは、当時のフランスの縮図。権力者と非権力者。それぞれのエゴを描いた中編小説。



2022.10.23読了


脂肪の塊

岩波文庫

193845日初版発行

198462046


# #読書 #文学 #文庫 #モーパッサン #脂肪の塊






モーパッサン「初雪」

2022-10-22 23:10:00 | 

再読のための覚え書き


初雪

ギ・ド・モーパッサン(1850-1893

丸山熊雄訳


パルヴィル夫人は生粋のパリ娘で、ノルマンディーの貴族の夫とは、政略結婚だった。


二人は結婚すると、ノルマンディーの屋敷で暮らすことになった。


冬は凍てつくような寒さだが、屋敷には暖炉がなく、夫は猟に出て帰らない。


夫人は夫に暖炉を求めるものの、夫は頑なにそれを拒む。そして夫人は、ある思い切った行動に出る……



2022.10.22読了


初雪

角川文庫

昭和32930日初版発行

昭和4633016


# #読書 #文学 #文庫 #モーパッサン #初雪






大田洋子「人間襤褸」

2022-10-22 23:10:00 | 

再読のための覚え書き


人間襤褸

大田洋子(1906-1963


戦時下の瀬戸内海、銀和島。

86日。部隊に勤労動員された学生の杉太は、兵舎を出るとき不意に、強烈な青い光が空間に広がるのを感じた。


兵舎は轟音とともに崩れ、周囲の人間は血に塗れて倒れていた。


杉太は、外出許可証を手に、知り合いの菊江を連れて、自分の家がある広島へ船で渡る。そこで杉太が見たものは……


「ふっと死んじゃいかんことに気がついた。人間があることの犠牲として、靴でふみつけられる毛虫のように無抵抗状態で死ぬなんて、それは完全な意味の死ではありませんからね」


・・・・・・・・・・・・


広島での被曝体験を持つ著者による、原爆の被災者たちの体と魂を、丸裸にして描いた小説。



2022.10.22読了


人間襤褸

新潮文庫

昭和301010日初版発行

昭和333202


# #読書 #文学 #文庫 #大田洋子 #人間襤褸






大田洋子「流離の岸」

2022-10-20 18:13:00 | 

再読のための覚え書き


流離の岸

大田洋子(1906-1963


千穂は、母の萩代が後妻に入った高倉家に引き取られるが、馴染めない少女時代を過ごす。


高校に進学すると、級友の聖子が医者の兄の龍吉を紹介する。千穂の治療を通して二人の距離は縮まり、相思相愛の関係となる。


やがて二人は一緒に暮らすようになるが、龍吉には妻子がいることを、千穂は龍吉から告げられるのだった……



2022.10.20読了


流離の岸

角川文庫

昭和281225日初版発行

昭和329206

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #大田洋子 #流離の岸