勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

ひまわりの少年

2006-08-04 | Pluviaの窓(写真のお喋り)


まだ残暑厳しい昼下がりのこと。

「ねえ、何してるの?」
「お写真撮ってるの」
「何撮ってるの?」
「ひまわりよ。そこにいっぱい咲いてるでしょう?」
「ふ~ん・・・」
「知らない?夏になるといつも咲くの。きれいじゃない?」
「うん・・・」

棒切れでひまわりをつつく5歳ほどの子供。

「虫がついてるわね。それは悪い虫で、お花を食べちゃうの」
「うん・・・」
「落っこちた?」
「うん」
「トンボも飛んでるのよ。お写真に撮りたいけど、なかなかとまってくれないの。ほら、そこ!」
「あ、ホントだ!」

立ち上がる私。

「じゃあね。これからテニスしに行って来る」
「てにしゅ?」
「そう」
「どこ?」
「すぐそこよ」
「僕も行く!」
「お母さんが心配するわよ。ちゃんと言ってかなくちゃ」
「言ってあるもん」
「そう。じゃ、そこまで行く?」
「うん!」
「お空も撮るね。青くてきれいじゃない?」
「うん。あ、車!」
「こっち寄って」

棒切れを振り回しながらついてくる子供。

「銃なんだよ」
「それ?エイッって切る刀みたい」
「銃だけど、刀にもなる」
「すごいね!でもいい人は撃っちゃダメよ。悪い人だけ」
「オニは?」
「え?」
「オニだよ」
「鬼か。それならいいわ」

曲がり角に着く。

「この先よ。でもここ曲がったら、お家わからなくなっちゃうから、帰ろうね」
「うん・・・」
「ここで見ててあげるから、一人で帰れる?」
「うん」
「バイバイ」
「バイバイ」

10mほどの道を小さな体でゆっくりと歩く。
相変わらず細い棒を振り回してる。
ふっと振り返り、名残惜しそうな視線。
手を振ると、手を振り返す。
すぐに自分の家の前の、ひまわりが沢山咲いている空き地に着く。
さよなら。いっぱい喋れて楽しかったよ。
Comments (2)
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