勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

ナルニアに戻れましたか?

2009-04-02 | 映画のお喋り
2006年11月にエントリーした記事ーナルニアには行きましたか?
あれからもう2年半が経ってしまったのか。
残念ながら映画の印象も薄れかけてしまった。

無論原作の大ファンで、小さい頃から何度も読み返しているから、どれだけ時が経とうとストーリーについていけないと言う心配はない。
ただ第2章と銘打ったこの話は、ナルニア国物語の原作シリーズの中で一番つまらないエピソードなので、そっちの方が心配だった。
(ちなみに一番好きなのは4作目の「銀のイス」)

ナルニア国物語・第2章ーカスピアン王子の角笛
2008年 アメリカ
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:リーアム・ニーソン(アスランの声)、ベン・バーンズ
   ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー

この話で一番好きなエピソードは、ナルニアの王城がかつて存在していた「ケア=パラペル」に戻ったペペンシー兄弟と、ドアーフのトランプキンが遭遇する場面だ。
角笛を吹いたら現れると言われる古代の王たちを迎えに行ったトランプキンは、そこでなんの変哲もない子供たちと出会ってがっかりする。

彼は婉曲に彼らには用がないと告げ、「お小さい方」と彼らを呼ぶ。
そこでピーターは弟エドモンドをトランプキンと戦わせる。
繰り返すが、彼らの剣や弓には魔法が込められているので、子供に戻ってしまっても、ひとたび剣を持てばかつての勇者に戻れる。

次にスーザンが弓でトランプキンと対決する。
彼らに完敗したトランプキンはやっと兄弟を古代の王=救援者として認める。
その時に、スーザンがちょっとした皮肉でトランプキンを「お小さい方」と呼び返すのだ。
このトランプキンは後にカスピアンの摂政になるのだが、親しいものからは「お小さい方」を略して「オチカ」と呼ばれ、その意味を知る者はほとんどいない。

この辺のエピソードがうまく消化されてない気がした。
第1章でアスランを縄目から救った功績により、ネズミも「もの言う動物」に加えられ、後に人気者のリーピチープが誕生するエピソードがきちんと描かれていないのと同じだ。
シリーズもの独特の、「あとに続く」感が足りない。

初めに書いたが、この巻はシリーズものの中でももっとも内容が薄い。
そのせいで、脚色が自在にできる利点も生まれた。
テルマール人である人間の「王位」をめぐる策略や戦いに重点を置いた脚色を選んだようだ。
映画的には正しい選択だったかもしれない。

だがこの話で原作者であり神学者であるルイスが言いたかったのは、神は信じる者の中にしか存在しないと言うことだと思う。
だから現実問題に心を奪われたトランプキンやピーターには見えないアスランが、彼に会いたいと念じ続けていルーシーにだけ見えたのだ。

「アスランは何故カスピアンを、あるいはナルニア人(魔法的な生きもの)を助けないのか?」
この疑問に対する答えは簡単だ。
テルマール人のカスピアンはアスランを信じていない。
ナルニア人も長年の迫害でアスランを忘れかけている。
心からアスランを信頼しているもの=ルーシーの呼びかけにしか、応えることが出来ない。
アスランにしても実に歯がゆい状況だったのだ。

カスピアンはこの先の2作にも登場する(4作目は老人になってる)し、それらしいキャストだと思う。
でも私のお気に入りはエドモンド役のスキャンダーくん。
アメリカ映画の鉄則で、いい役にはそこそこの、悪役には可愛い子を持ってくると言うのがある。
第1章で裏切り者を演じたエドモンドには当然ピーターより可愛い子が割り振られる。
今回はあまり活躍していないが、3作目では問題児のユースチスを抱えながら、いいところを見せてくれる…はず。

ただしナルニア国物語の主役はアスランであり、ナルニア人だ。
3作目で一番活躍するのは、もちろんねずみのリーピチープ。
あ、ここで不満をもうひとつ思い出した。
ナルニアのルールで、もの言う動物たちは、こちらの世界より大きいものは小さく、小さいものは大きくなる。
リーピチープもネズミではあるが、人間のひざ丈くらいの大きさのはず。
もっとも小さな存在ゆえに、もっとも誇り高いリーピチープを表現するには、映画の大きさでいいのかもしれないけど。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 嫌われたヒーロー | TOP | 気になる言葉 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 映画のお喋り